[う.ば.ま.ろ]せめて、ただ愛させてよ。[学パロ/実.況.者]

四十五…。 ページ46

『にしても、ほんっと寒いな。
どっか入るか。』
う「…はい。」
流石に泣きっぱなしもアレだから、
少し経ってから無理矢理涙を止める。
ゆかりさんの教室に向かうと、もぬけの殻。
それでも教室の中はあの飾り付けのまま。
恐らく全員、生徒会主催のダンスパーティに
参加、もしくは観賞でもしているのだろう。
『ストーブ付けようぜ！寒いったらねえよ！』
う「そんなに寒いなら、着替えてきたら良いのに。」
驚く事に、彼女はまだミニスカサンタの衣装を身に纏っている。
『うちのクラスの女子が着替えさせてくれねえの！
男子の友達に会いに行くって言ったら、
この格好のまま行った方が良いって言うからよ。』
う「は、はは…。」
貴女達は一体何を期待してんですか。
『あっ！見ろよ！』
忙しい人だなあ。
『雪！雪がまた降ってきた！』
う「え！？」
窓を見ると、確かに雪が降っている。
まるで片栗粉の様なパウダースノー。
『綺麗だな。さっきと違って見える。』
う「本当、ですね。」
そっと手を握ると、彼女の手が
ストーブのおかげで熱を取り戻していた。
う「ゆかりさんの手、暖かいです。」
『…すぐ近くがストーブだからな。当たり前だろ。』
う「そういう事じゃないです。」
手を繋いだまま、彼女の方を向く。
彼女に体を寄せ、空いた手で抱き締める。
う「…うん、暖かい。」
『…ば、ばか…。』
ゆかりさんからも背中に腕を回され、力を込められる。
『…うばまろ君。』
う「はい。」
『…その…。』
う「？」
『……あ、あたってる。』
う「えっ！？」
思わずバッと離れ、自分のソコを見る。
『べ、別に気にしねえよ！
あ…っ、あたしも抱き締めた時に胸当たっちまってるし？』
気にしないなら何でわざわざ言ったんですか。
『ほ、ほら雪見ようぜ！雪！』
う「さっきから見てますよ…。」
もう、恥ずかしいどころじゃねえよ。

途端に、ゆかりさんが両腕を広げる。
『ほら。もっかい、来いよ。
…ぎゅってさせろ。』
う「…顔、真っ赤。」
『ストーブのせいだ馬鹿！』
年上にだけど、言っても良いですよね？
う「ゆかりさん、可愛いです。これ以上無い位。」
『早く来いよ！あたしの顔見んな！』
どこのツンデレですか。
もう一度、今度はちゃんと抱き締める。
う「やっぱ、暖かい。」
『暖を取るには最適だな。一家に一台うばまろ君。』
う「俺は暖房器具じゃありません。」
彼女の笑い声につられて俺も笑い出す。その時。
『で、何見てんだよ？
これは見せもんじゃねえぞ。』
…え？

四十六…。→←四十四…。

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す