[う.ば.ま.ろ]せめて、ただ愛させてよ。[学パロ/実.況.者]

四十四…。 ページ45

『…どうしたんだよ、さっきから。
ライブ、楽しかったんじゃ無えのか？』
う「…。」
手を繋ぎ合わせたまま、何も言わずにその場に立ち尽くす。
さっきまで降っていた雪が止み、代わりに
冷たい風が肌を撫でた。
う「ゆかりさん。」
『何だよ。』
う「その、えっと…。
異性の友達を好きになったら、
ゆかりさんはどういう気持ちになりますか？」
『いきなり、何だよ。』
本当、何聞いてんだよ俺。
う「ゆかりさんとテラゾーさん、友達同士なんですよね。
そこから恋に発展するのって、
どういう気持ちになるのか知りたくて。」
『ちょ、ちょっと待て！
何であたしとテラゾーなんだよ！』
う「だって、好きなんですよね？テラゾーさんの事。」
途端、黙り込んでしまう彼女。
テラゾーさんの事が好きなのは知ってたし、態度でも分かった。
なら、せめて。
俺の心の中で温めていたこの気持ちに
区切りを付けさせて下さい。
う「俺がどれだけ頑張ったって、無理だって事は分かってます。
時間の無駄だって事は分かってます。でも、
俺の想いだけでも、ゆかりさんに聞いてて欲しいんです。」
『…。』
彼女は未だに黙ったまま、目を伏せている。
報われなくても、届かなくても、
男としてのけじめを付けないと収まりがつかねえ。
それなら、正面から勢い良くぶつかって
気持ち良く砕け散ってやろう。
その方が幾らか清々する。

う「ゆかりさん、俺、やっと自分の気持ちが分かったんです。
…俺は、ゆかりさんが、好きです。」
言ったよ。言っちまったよ。
結果は分かってるけど、これ程怖い沈黙は無い。
少なくとも今の俺はそう思う。
『………バーカ。』
う「え…。」
『あたしがテラゾーの事が好きだ？
そんなのいつ言ったよ？』
予想の斜め上の言葉に、思わず目を見開く。
『あいつはただの友達だよ。それ以上でも以下でも無え。
恋愛感情なんか以ての外！』
う「でも、テラゾーさんの話した時
顔赤くしてたじゃないですか！あれは…、」
『あれは、あんたの事を思い出してたからだよ。』
う「俺の、事…？」
それは、まさか…。
『あたしも、うばまろ君が好き。ちゃんと、恋愛感情の方で。
いい加減、気付けよ馬鹿。』
う「…ぅ…っふ…。」
『わっ！…な、何だよ急に！？』
う「ごめん、なさい…。ダメだと、思ったから…。」
『…もう。しょうがねえな。』
手を離され、代わりにゆかりさんに抱き締められる。
『先に泣いてんじゃねえよ。
あたしだって、泣きてえのに。』
彼女の優しい声が、耳元に届いた。

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