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三十…。 ページ31

『やっと、見付けた…!
探したぜ、うばまろ君。』
ゆかりさんは奴らを睨み付けながら、俺に優しく声を掛ける。
う「あ、危ない、ですよ…。
早く、逃げて…!」
『バーカ。せっかく助けに来たのに逃がしてどうすんだよ。
後は、あたしに任せろ。』
瞬時に身体を縮こませ、
一番近くの奴に向かってタックルをかます。
結果、そいつも遠くまで飛んでいった。
残ったもう一人の胸ぐらを片手だけで掴み、
壁に押し付ける。
『さあ、吐けよ。
こいつに今、何してた?』
ゆかりさんのこんな冷たい声、初めて聞いた。
胸ぐらを掴まれた奴は、身体をよじって逃れようとする。
だが、どれだけ足掻いても逃げられない様だ。
ゆかりさんに、更に強く押し付けられる。
「な、何も…。
ちょっと、遊んでただけで…。」
『ちょっと遊んで出来る傷じゃねえだろ!
認めろよ。こいつを苛めてたんだろ?』
半ば脅迫じみてきたその発言は、確かに間違ってはいない。
「ゆ、許して…。」
『誰が許すかよ!
あんた、自分が何やってたか分かってんのか?
あたしの、大事な友達を傷付けたんだ!』
力強く叫んだその声は、青く澄んだ空に吸い込まれていった。

どさっ。
やっとの事で胸ぐらから手を離す。
…手を離したって言うか、ブン投げたと言うか。
軽く投げ出されたその身体は、壁に沿って倒れ込んだ。
ゲホゲホと、必死で酸素を取り入れる姿が俺の視界に入る。
その時。
ガスン。
『っ…てえっ!』
彼女の後ろから、金属バットを手にした
リーダー格が俺らを見据えていた。
怒りの形相でこちらを睨み、その視線の先には
ゆかりさんが頭を押さえて蹲っている。
それを察した瞬間、俺の体が動いた。
先程のゆかりさんと同じ様に、奴の懐に飛び込む。
奴の方が体格が良かったからなのか、
弾みを付けて飛び込む事が出来た。
その結果、奴より体が小さい俺でも
押し倒す事が出来たのだ。
『女とちびっ子に遊ばれる気分はどうだ?』
う「ちびっ子認定しないで下さいよ。」
得意気に奴らに向かってそう言葉を飛ばす彼女に
いつも通りツッコミを入れる。
やってる事は、普段と変わんねえな。
それが何となく嬉しかったり。
『さ、こんな奴ら放っといて、早く行こうぜ。』
う「…はい。」
俺らは踵を返し、クッパ棟から離れていった。
勿論、奴らの事は捨て置いたままで。

う「…あの。」
『何だ?』
う「ありがとう、ございました。
その、助けに来てくれて。」
『当ったり前だろ!あたしの大事な弟分なんだからよ!』
弟分、か。

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螢羅(K-Ra)(プロフ) - 緑月翡翠さん» わわっ!ありがとうございます!最後のアレはだいぶ力入れて書きましたw書いてて楽しかったです!フランスですね!ヨーロッパ良いですよねー。私も逝きたい!コメント&投票ありがとうございました! (2017年1月2日 22時) (レス) id: 575549c323 (このIDを非表示/違反報告)
緑月翡翠(プロフ) - コメント失礼します!完結おめでとうございます!最後のドッキリ(?)がとても面白かったですwアンケートはフランスで!ヨーロッパ好きなので…。今後も頑張ってください!お疲れ様でした! (2017年1月2日 22時) (携帯から) (レス) id: b835eb55b1 (このIDを非表示/違反報告)
螢羅(K-Ra)(プロフ) - もるもるさん» 読んで頂けて嬉しいです!三銃士良いですよね!いつかはこのシリーズで制覇したいです!応援ありがとうございます! (2016年11月25日 6時) (レス) id: 575549c323 (このIDを非表示/違反報告)
もるもる - 第8話も最高でした!!夢主ちゃんの容姿も最高ですね!三銃士メンバーが好きなのでこうやって読めて幸せです(>_<)私ははたさこさんが1番ですが((第9話も全力でまっております!!魂のこもった作品、大好きです。 (2016年11月25日 4時) (レス) id: d916275192 (このIDを非表示/違反報告)
螢羅(K-Ra)(プロフ) - もるもるさん» わー!ありがとうございます!一つ一つに魂を込めて書かせて頂いております。私も書いていて楽しいです!勿論以前までの作品も、書いていて楽しかったですがw (2016年11月24日 7時) (レス) id: 575549c323 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:螢羅(K-Ra) | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2016年11月16日 21時

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