[う.ば.ま.ろ]せめて、ただ愛させてよ。[学パロ/実.況.者]

二十七…。 ページ28

う「じゃあ、俺らも戻ろっか。」
「そうですね。」
歩き始めたけど、無言が続く。
不意に、彼女に肩を触られる。
う「え…？」
「糸くず、付いていましたよ。」
う「あ、…ありがと。」
普段からあんなだけど、たまに見せる優しさに
虜になってしまうんだよな。
「副会長の貴方が糸くず一つ気付かないなど、
笑止も良い所です。」
う「そこまで言うの！？
…笑止って、何？」
「笑いが止まりません。」
う「いや君、笑ってないじゃん！」
多少言葉はキツいけどね。
うん、多少。
「では、私はこれで。」
う「あ、うん。また後でね。」
「今日は生徒会の活動はありませんが。」
う「ああ、そうだった！忘れてたよ。」
「馬鹿ですか。…では。」
そう言うと彼女は身体を翻し、こちらに背を向けて歩き出した。
元々小さめの身体が、更に小さくなっていく。
ずっと見てたいけど、俺も戻らないとな。

教室に戻ると、既に授業が始まっていた。
う「すみません、遅れました。」
そうとだけ告げ、自分の席に着く。
予め机に入れておいた教科書とノートを取り出し、
授業を受ける姿勢を作る。
置き勉って楽だよな。
終業式の時は大変な思いするけど。
時間が経って授業の終わりを告げるチャイムが鳴り、
ぐっと両腕を伸ばす。
そのまま身体を軽く後ろに反らそうとすると、
誰かに腹を殴られた。
う「ぐえ。」
愛「ははは、変な声だなあ！」
お前かアホゴリラ。
う「何してくれてんの。」
愛「べっつに〜？」
う「張っ倒すぞてめえ。」
理由も無くぶん殴ってきたのか。
愛「手加減したし良いだろ？」
う「良くねえよ。当たりどころが悪かったらどうするんだよ？」
愛「え、さっきよりも高らかに笑い飛ばしてやるよ。」
う「本当に張っ倒すぞゴリラ野郎。」
どこまでも姑息な奴だな。

う「で、どうした？ストレス解消なら他当たれよ。」
愛「違えよ！それもあるけどよ！」
愛ゴリはブレザーのポケットから、二枚の紙を取り出した。
愛「ほらよ。」
う「何これ？」
愛「見りゃ分かんだろ。クリスマスパーティの
ライブのチケットだよ。」
う「うちの軽音部の？」
愛「そうそう。前売りの発売日が今日だったから、
特別に買ってきてやったの。」
ドヤ顔をかましながら説明する奴がたまらなく鬱陶しい。
う「二枚共くれんの？」
愛「おう。本当はごりぞえを誘う予定だったんだけど、
気分じゃ無くなったらしいんだよ。
因みに、二枚合わせて千円！」
う「安っ。」
どうでも良いけど、順調に尻に敷かれてんなお前。

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