[う.ば.ま.ろ]せめて、ただ愛させてよ。[学パロ/実.況.者]

二十…。 ページ21

とは言え、断る理由は無い。
う「俺で良ければ、別に良いですよ。」
『やった！ありがとな！』
ゆかりさんが勉強をちゃんとしてくれるなら、
どんな条件でも構わないですよ。
『…なあ、あんたってさ、
もしかして、頭の良い女が好きな訳？』
う「何でですか？」
『だって、あたしが勉強しねえと
あんたすげえ怖い顔するし。』
＜何でそんな事聞くんですか？＞って意味で聞いたのに。
う「別に、そう言う訳じゃないですよ。
ゆかりさん、前に赤点ギリギリだって言ってたんで、
ちょっとの時間でもちゃんとやって欲しいってだけなんで。」
『あたしの心配、してくれてんのかよ？』
う「クリスマスパーティの前の小テスト、
パスしたいんでしょ？
何でそんなにこだわるのか知りませんけど。」
『…だって、補習になったら
一緒にパーティ出来ねえじゃん。』
あ、ちょっと可愛いかも。
『い、いや！えーっと、
今のは聞かなかった事にしてくれよ！
何か、あたしらしくねえし！』
もう遅いですよ。
う「ばっちり聞いちゃいました。」
『ば…、ばーかっ。』
急に顔を赤らめたと思ったら、途端にあたふたし始める。
何なら軽く罵倒も付いてきた。
その様子が、あまりにも可愛くて。
う「俺ら、同い年なら良かったのに。」
『え…？』
う「…何でもないです。」
心から、そう思わざるを得なかった。
でも、もしそうなったとしても
もしかしたら彼女の事を好きになっていたかも知れない。
それが、とても怖かった。

ゆかりさんの勉強会を終え、ちょうど良い時間に図書室を出る。
来た時とは違い、お互いに無言が続く。
隣を見ると、赤い顔のまま前を向いて歩くゆかりさんがいる。
きっとテラゾーさんの事でも思い浮かべてるんだろう。
でも何でテラゾーさんじゃなくて俺なんだろう？
それに彼女の様な学校の有名人なら、友達も多くいる筈だ。
そう聞くと、こう返ってきた。
『あたしは、うばまろ君と過ごしてえの。
それに、何でテラゾーの名前が出てくるんだよ。』
う「何となく、ですよ。」
本当に何となくそれを聞きたかったのか？
その答えは、俺すらも分からない。
何か哲学じみてきたな。
『うばまろ君。』
う「はい。」
『あたし、頑張る！
この小テストで、絶対良い点取るよ！』
凄え意気込み。
そんなに俺と過ごしたいのかこの人は。
う「あんまり気負わないで下さいよ。
でも…、期待してますから。」
俺がそう言うと、彼女は持っている英語の
教科書に、ぎゅっと力を込めた。
まあ、悪い気はしねえな。

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