[う.ば.ま.ろ]せめて、ただ愛させてよ。[学パロ/実.況.者]

十六…。 ページ17

う「普通に、良い友達だよ。」
それがどうかした？そう続けると、
愛ゴリからこう返ってくる。
愛「ふーん。いや、
お前ら付き合ってんのかと思ってよ。」
う「は！？」
思わず声を上げ、奴を見る。
俺、動揺しすぎだろ。
う「そんな訳無えだろ。あの人はちゃんと好きな人いるし。」
愛「マジで！？でもそれってお前の事じゃねえの？」
何でそうなるんだよ。
う「いや、絶対違うって。」
愛「でも雰囲気的にそんな感じしたんだけどなー。」
…雰囲気的に？
う「おい、ゴリラ。
いつ、どこで、何を、どっから見てた？」
単語一つ一つを噛み砕く様に言いながら、
目の前のゴリラを問い詰める。
ゴリラはニヤつきながら、同じ様に返してきた。
愛「昨日、食堂で、お前が篠宮先輩の髪を結んでる所を、
最初から見てた。」
う「全力で引っ叩くぞてめえ。」
見られてたよあれ。
しかも、よりによって自分の親戚に。
そうだ。食堂と俺らがいた購買、隣同士だったな。
う「髪を下ろしてんのが何となく違和感あったから、
綺麗に結び直してただけだよ。」
愛「どっからどー見ても付き合ってる様にしか見えねえな、それ。」
まだ言うか。懲りねえゴリラだな。
う「男が女友達の髪を弄っちゃダメなのかよ？」
それにゆかりさん、髪触った時に抵抗してなかったし。
愛「お前な、男が女の髪触るってどういう意味か分かってんのか？」
奴はドヤ顔をかましながら、得意気に講釈する。
愛「それ、お前が篠宮先輩に気があるって事だぜ？」

俺が、ゆかりさんに…？
う「いやいや、そんな事無えよ。
確かにたまに可愛い人だなって思う時はあるけど。」
愛「そもそもそんな気が無かったら、
自分から女の髪なんか触んねえよ。
女は好きでもねえ男に髪触られんのは、極端に嫌がるからよ。」
何でお前がそんな事知ってんだよ。
そうツッコむより先に、奴がこう続けた。
愛「それに、篠宮先輩が嫌がらなかったって事は、
先輩もお前に気があるって事じゃねえのか？」
とことんうぜえ奴だな、このゴリラ。

いや、ちょっと待て。
俺が恋愛感情を持っているのは、風紀委員のあの子だけの筈だ。
それに俺の好きなタイプも、彼女の様な神秘的な娘だし。
ゆかりさんは、そんなタイプとはあまりにも掛け離れている。
明るくて元気で、時々女の子らしい一面も見せる可愛らしい人。
あの子とはまるで違うのに。
でも、そんなゆかりさんにも惹かれ始めている俺は何なんだ？

俺が本当に好きなのは、あの子とゆかりさんのどっちなんだ…？

十七…。→←十五…。

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す