[か.わ.ぞ.え]貴方の姫になりたいの！[学パロ/実.況.者]

第１ゲーム ページ2

『うふふ、いつ見ても素敵ですわ。』
私が教室の窓の外から眺めているのは、学校のグラウンド。
否、そこで活躍している我がクラスの王子様。
彼はサッカーボールを一心不乱に追い掛け、
ポイントを稼いでいく。
その鮮やかさは、他の生徒の追随を許さない程。
他の女子生徒も、私と同じ様に
窓の外をうっとりした目で見つめている。
お目当ては私と同じで彼、かわぞえ君なのでしょうけど。
『やはり、彼は私の王子様に相応しいわ。』
私は彼女達に聞こえない様に、そう小さく呟いた。
尤も、彼女達はかわぞえ君がポイントを稼ぐ度に歓声を上げている為、
私の声など聞こえていないだろう。

部活動を終えた彼の元に、女子生徒達が近寄っていく。
全く、貴女達にはモラルという物が無いのかしら？
彼女達はかわぞえ君に、
タオルやスポーツドリンクを差し入れている。
そのお仕事は、サッカー部のマネージャーがするのよ。

一連の流れを見終わり、家に帰る準備をする。
そして、毎日決まった時間に来る送迎車を待つ。
校門の前に立っていると、彼が話し掛けてきた。
か「やっほ。誰か待ってるの？」
『ええ。送迎車を待ってますの。』
か「送迎車！良いなあ。
ワシの所にも来てくれたら、
もっと早い時間に朝練出来るんじゃけどなあ。」
『本当にサッカーが好きなのですわね。』
か「まあね。かわぞえさんにはそれしか取り柄が無いけえな。」
本当に楽しそうにサッカーの話をする彼。
その時の爽やかな笑顔に、私は釘付けになってしまうの。
か「あれ、どうしたん？ワシの顔じっと見て。
はっ！？まさかお肌が荒れて…！」
『いえ、何でもありませんわ。
貴方のお肌はスベスベのピカピカですわ。』
か「本当！？良かった！
もとくんとスキンケア対決やっててさ。
負けたらスイパラでスイーツ奢んなきゃいけなくて。」
意外と女性らしい事をされてますのね。
『あ、あら。それは大変ですわね。
私の物で宜しければ、
好きなスキンケア道具を差し上げますわよ。』
か「本当に！？」
『ええ、本当よ。
明日にでも持ってきますわ。』
そう告げると、嬉しそうに笑う彼。
か「やった！ありがとう！」
その笑顔に、また心が掻き回される。
と、送迎車が来た様だ。
か「これが送迎車？」
『ええ。』
か「格好いい！リムジンなんて初めて見たよ！」
彼は車をじっと見つめ、感嘆の声を上げる。
『それではまた明日。ごきげんよう。』
か「うん！ばいばーい！」
彼は私が見えなくなるまで、手を振り続けていた。

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