カッコつけたがり症候群で天性のアホの子が勘違いされました。【刀剣乱舞】

みなさん夕餉って日常生活で使ったことあります？ないですよね？ね？ ページ37

貴方side


「さて、どうしたものかな」


薬研はいなくなって(というか半ば追いやって)しまい、何もすることがなくなった。


薬研がいなくなってから30分は経っただろうか。


「ん、そういえば…」


今は何時だろうか。


初めて部屋から出た時、外は確かに暗くなり日が沈んでいた。


今も障子の隙間から満月が覗いている。


その時だった。


「失礼します、夕餉の支度ができたそうなのでお迎えに参りました」


スッ、と静かに障子が開かれた。


そこにはまさに紳士という言葉が似合う青髪の青年が一人、こちらを見て微笑んでいた。


「一期一振と申します。以後お見知り置きを。」


『苺人不利』？


なんつー名前なんだ。


人の名前じゃねーぞこりゃ。


苺で人を不利にする？何？芸名？


っと、そうだ。


「俺は吹雪Aだ」


相手にだけ名乗らせるのは失礼だな。


「それで苺人不利」


この名前呼ぶの、すっげー違和感しかないんだが…。


まぁこれが彼の名前なら仕方がない。


「つかぬ事を聞くが、『ユウゲ』とは何のことだ？」


「なっ!?夕餉を…ご存知でないのですか？」


「あ、あぁ…」


「本当に!?」


「初めて聞いた言葉だ」


え、俺今まで生きてきた中で『ユウゲ』なんて言葉使ったことないけど…


俺がおかしいのか？


「……分かりました。では百聞は一見にしかず、聞くより見たほうが早いでしょう。参りましょう」


へ？参る？


ま、まさか…


またあのクソ怖ぇやつらばっかのところにか!?(25話参照)


絶対ぇ嫌なんだけど…!?


「吹雪殿？如何されましたか？」


てか、そういえば…


コイツもあの部屋にいたやつじゃねぇか!?!?


ヤベェ！！


名前の違和感さに夢中で気づかなかった！！


「吹雪殿？」


「あ、いや…」


ヤバイヤバイ…


これは断るべきか？


それとも素直について行くべきか？


そもそも夕餉を知らないのに本当について行って大丈夫なのだろうか。


また、あの殺気に満ち溢れた部屋に放り込まれるなんてことになるかもしれない…


最悪の場合そのまま殺されたり…


無理だ無理だ無理だ


絶対ついて行っちゃダメなやつじゃないかよ！！！

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