もう一人の編入生

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魚河岸に程近い商店街には様々な国の高級料理店が軒を連ねている


ここは政治家や芸能関係の人達がお忍びで来る様な店が沢山ある


ほの中でもひっそりとした佇まいで寿司屋が営業していた


その寿司屋の中に入れば外とはまた違った華やかさがあった


この寿司屋は裏WGOに数えられている店の一つに数えられている


裏WGOとはWGOで20年間３つ星を獲得すると載ることが許される名店中の名店なのだ









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喋っていた人達が皆、水を打ったような静けさになった



人々が見ている先に視線を移すと、10代中頃だろうか、まだまだ若い少年の姿があった


「やぁA君、今日はどんな寿司を食べさせてくれるのかい？」


40代中頃だろうか、ヨレヨレの背広ろ着た男性が机に両肘を付け顔の前で手を組んでいる


「それは食べてからのお楽しみっス」

紅碧色(べにみどりいろ)の調理服に身を包んだ少年が包丁を取り出した


その包丁はとても鋭く、光に当たって美しく輝いていた


裏から取り出していた木箱の中には今が旬のマグロが1匹丸ごと入っていた


マグロの中に包丁が入っていく


とても素早い手捌きでマグロが刺し身に変わっていく


筋と並行に


酢飯と魚を握っていく


その手つきは熟年の板前が握っているかのような鮮やかな手つきだった




ｽｯと出された寿司をみた男性の顔は驚きに満ちていた。



「こ、これは、なんだね．．．。中トロのように赤身が入っているわけじゃないかと言って、大トロのように脂のスジが通ってもいない。とするとこれは何なんだ？」


男の隣に座っていた客が、隣の男の寿司をみて同じように悩みだした。


「大トロにも似ているが、大トロであれば必ずあるはずのスジがどこにも見当たらない」

『秘密はきっと食べてくだされば必ず分かりますよ』



そう言われた男は意を決したような顔をして寿司を掴み口の中に入れた。

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