16-4：ナリソコナイ ページ35
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救急車で搬送される羽野麦と九重に手錠をかけられた成川岳。
彼が車に乗る前、ほんの一瞬だけ彼女と目が合った。
あっ、と口を開いた成川にしーっと笑ってみせるA。
Aの血だらけの手を見た成川は申し訳なさそうに眉を寄せて、
「────。」
ありがとう、確かにそう言った。
『…ふふっ。』
口パクで声は聞こえなかったけれど、彼の言ったことはきちんとAには伝わっていた。
彼らの無事を確認して、Aは久住の待つオフィスへ足を向けた。
『久住ただいま。』
｢おかえり…って、なんやその怪我。｣
『ふふ、無駄足掻きしてきた証。』
久住は呆れたようにため息を吐き、引き出しから救急箱を取りだした。
『私もうお払い箱？』
「お払い箱なんはナリくんとエトリさんの方や、お前はまだ使える。」
『エトリのGPSが切れたのと関係ある？』
「後ろ見てみ。」
ゆっくりと振り返れば、背後に映し出されていたのは爆発の映像。
────あいつ、俺が殺してしもうたわ…。
『私が殺したかったのに、ちゃんと苦しませた？』
「炎に呑まれて苦しみながら死んでったで。」
『そう、ならいいや。』
ざまぁみろ、とでも言うように鼻で笑うAは先程まで命を捨ててでも他人を助けようとした人物とは似ても似つかなかった。
人間にも悪魔にもなれなかったなりそこない。
「お前二重人格なんか？」
『沢山顔があるだけだよ。久住みたいに。』
その言葉にニヤッと笑う久住。
本当は成川が死んだ後、エトリの始末はAに任せようと思っていた。
Aがエトリをどうやって葬るのか興味はあったが、成川が助かりエトリが警察に捕まったことにより計画を変更した。
少しの誤差なんて想像の範囲内。
「ガサ入れされてナリくん捕まってもうたから引越しや。」
『あそこ住みやすかったのに。』
「スマホも貸せ。」
『はいはい。』
渋々と差し出したAのスマホのロック画面を見た久住は言った。
────お前にとってあの男はなんなん？と。
ターゲットとの証拠を残さないよう1度も彼らと写真を取りたがらなかったA。
そんな彼女がどうしてターゲットと写った写真を待ち受けにしていたのか。
彼にはそれが不思議でたまらなかった。
【ナリソコナイ】
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優(プロフ) - 志摩さんverも見たいです。 (12月13日 8時) (
レス) @page9 id: 3d15647872 (このIDを非表示/違反報告)
A(プロフ) - 続き楽しみにしてます！ (2022年3月10日 4時) (レス) @page43 id: c5820b78bf (このIDを非表示/違反報告)
優(プロフ) - 終わり！？めっちゃ気になる(；´Д｀) (2021年12月4日 18時) (レス) @page43 id: da421f7cc6 (このIDを非表示/違反報告)
Ylixe(プロフ) - 続き楽しみにしてます！ (2021年1月10日 20時) (レス) id: 261d3e9d65 (このIDを非表示/違反報告)
しおらん(プロフ) - 凄くいいです！このパターン初めて読みました！久住側で伊吹に好かれて付き合って…最高ですね！続きもっと沢山読みたいです！更新頑張ってください！楽しみにしています！ (2020年12月28日 2時) (レス) id: 7c779db0ef (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：名無 | 作成日時：2020年9月26日 13時
