11-3：鬼燈の咲いた日 ページ23
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晴れていれば誰かに届いたかもしれない声は、土砂降りの雨に呆気なく掻き消される。
天気予報では今週はずっと晴れだと言っていたのに。
ついていないと言うべきか、悪運が強いと言うべきか。
『ごめん、折角くれたのに。』
貰った時計は落ちた衝撃でひび割れていて、水に浸かったせいか動かなくなっていた。
ふと、彼女の笑顔が脳裏に浮かぶ。
『(どうか、私の分まで幸せに……、)』
「お前も沈められたんか、可哀想になぁ。」
傷だらけの私を嘲笑うかのようにヘラヘラ笑いながら井戸を覗き込む男。
『可哀想？私今幸せよ？』
だって大切な人を守って死ねるのだから、最高だとは思わない？
「は？幸せ？助けてほしないん？」
ロープを見せてくる彼に無性に腹が立った。
人の命握って神様にでもなったつもりかよって。
『どーでもいい。』
本当はまだ生きたかったけれど、それを言ってしまうと戻れなくなる気がしたから。
「聞きたいことあるんやけど、俺が作ったソフトにウイルス仕込んだのあんたか？」
あの入りにくいソフト作ったのこいつだったのか。
若いのに随分と高度な技術をお持ちのようで。
まぁ死ぬ私には関係ないけど、腹立つから最後に煽って死んでやろう。
死ぬ直前で、そんな馬鹿な事が頭に浮かぶなんて我ながらどうかしてたと思う。
だけど、彼のヘラついた表情を最後に崩してやりたい、そう思った。
「自分、名前なんて言うん？」
『A。』
「苗字は？」
苗字か、何かないかなって辺りを見渡したら庭の隅の方でひっそりと咲いていた野生の鬼燈が目に止まる。
『鬼燈…私の名前は鬼燈A。』
「変わった苗字やなぁ。」
これが存在しない私達の出会い。
『気ぃ変わった、って言って私の事井戸から引っ張りあげた時さ…何であんなに笑ってたの？』
「おもろいおもちゃ増えたなぁって思ったら自然と笑えてきてん。」
『うわぁ、』
「でも俺はラッキーやったと思ってんで。思いの外有能やったから。」
この男のおかげで今の私があるのだと思うと少々…いや大分癪だけど、彼に助けられたのは紛れもない事実。
「使い物にならんなるまでこき使ったるからな。」
『ぶっ壊れるまで働いてあげる。』
「ふっ、お前らしい答えやなぁ。」
【鬼燈の咲いた日】
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優(プロフ) - 志摩さんverも見たいです。 (12月13日 8時) (
レス) @page9 id: 3d15647872 (このIDを非表示/違反報告)
A(プロフ) - 続き楽しみにしてます！ (2022年3月10日 4時) (レス) @page43 id: c5820b78bf (このIDを非表示/違反報告)
優(プロフ) - 終わり！？めっちゃ気になる(；´Д｀) (2021年12月4日 18時) (レス) @page43 id: da421f7cc6 (このIDを非表示/違反報告)
Ylixe(プロフ) - 続き楽しみにしてます！ (2021年1月10日 20時) (レス) id: 261d3e9d65 (このIDを非表示/違反報告)
しおらん(プロフ) - 凄くいいです！このパターン初めて読みました！久住側で伊吹に好かれて付き合って…最高ですね！続きもっと沢山読みたいです！更新頑張ってください！楽しみにしています！ (2020年12月28日 2時) (レス) id: 7c779db0ef (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：名無 | 作成日時：2020年9月26日 13時
