1：トロイの木馬 ページ2
【1話】
日が落ちてからもう何時間も経つのに一向に涼しくなる気配がない。初夏の夜は億劫だ。
これからどんどんどん暑くなることを考えるだけで気が滅入ってしまう。
暑いのは嫌い。寒いのはもっと嫌いだ。
『早く秋が来ればいいのに。』とまだ夏が始まる前から言ってみる。
そんな暑さから逃げるようにシェアオフィスに足を踏み入れた。
『……久住。』
｢ん？なんや、Aか。｣
隣に移動しても全く気付く気配のない彼に早く気付けと言う意を込め、名前を口にする。
『頼まれてたやつ手に入ったよ。』
そう言って目の前にUSBメモリと数枚の写真が入った茶封筒を差し出した。
｢あの堅物もう落としたんか。相変わらず仕事早いなぁ。｣
『今週中に情報取ってこいって催促してきたのはどこのどいつよ。』
久住はそうやった、忘れとったわとヘラヘラ笑いながら財布を開いた。
｢ほれ、今回の成功報酬や。｣
いつも通り手渡されたはずの報酬に違和感を覚える。
明らかにいつもと額が違うのは一目瞭然。
今回の相手がそんな大物だったとは思えない。
期間の問題だったとしてもこの額は異常だ。
何かある、そう思うのはごく自然なこと。
お札を数えている途中、折り畳まれた白い紙が視界に入った。
『…え？』
それは紛れもないマンションの契約書。
『ねぇ…この大金といい、マンションの契約書といい、一体何のつもり？』
私の質問に彼は待ってましたと言わんばかりに口を開いた。
｢成功報酬と前金。
マンションは後々使うと思って知り合いに契約させてきたやつや。｣
『前金って…何、次の相手そんなにやばいの？』
｢こいつらのどっちか、お前やったらこっちの奴の方が良さそうやな。｣
｢Aはどっちがタイプなん？｣と机に置かれた1枚の写真に視線を下ろした。
写真には1台のメロンパン販売車と配達員であろう2人の男が写っている。
『待って理解が追いつかない。こんな販売員になんでここまでするの？』
｢警察のお友達が欲しいって話前にしたの覚えとる？｣
『うん、覚えてるけど…この2人の身内が警察官とか？』
｢ちゃうちゃう。ナリくんって子が教えてくれたんやけど、こいつら警察なんやって。｣
『……は？誰がなんだって？？？』
ごめん、言ってる意味が分からない。
【トロイの木馬】
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優(プロフ) - 志摩さんverも見たいです。 (12月13日 8時) (
レス) @page9 id: 3d15647872 (このIDを非表示/違反報告)
A(プロフ) - 続き楽しみにしてます！ (2022年3月10日 4時) (レス) @page43 id: c5820b78bf (このIDを非表示/違反報告)
優(プロフ) - 終わり！？めっちゃ気になる(；´Д｀) (2021年12月4日 18時) (レス) @page43 id: da421f7cc6 (このIDを非表示/違反報告)
Ylixe(プロフ) - 続き楽しみにしてます！ (2021年1月10日 20時) (レス) id: 261d3e9d65 (このIDを非表示/違反報告)
しおらん(プロフ) - 凄くいいです！このパターン初めて読みました！久住側で伊吹に好かれて付き合って…最高ですね！続きもっと沢山読みたいです！更新頑張ってください！楽しみにしています！ (2020年12月28日 2時) (レス) id: 7c779db0ef (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：名無 | 作成日時：2020年9月26日 13時
