No.10 ページ10
＊
1年に1度、学年ごとに大きな行事がある。
1年生は、山の大自然に囲まれた中で、1泊2日の宿泊学習だ。
季節は秋、雨がぱらぱらと降っていた。
バスの中は、じめじめとした天気とは違って活気に溢れ返っている。
そんな中、私と隣の座席の焦凍君は静かに揺られているだけで。
バスの座席は、班ごと纏まっており、隣が同性同士にならないように決められたので、学級内で仲が良かった彼が隣となったのだ。
私も彼も、そこまで交友関係は広くないし、ましてや異性の友達なんてお互いくらいなものである。
正直、ほっとしているし嬉しくも思う。
彼となら、こんなに静かであっても気まずい雰囲気にはならないし。
山道を登っていくので、バスは上下左右によく揺れる。
少しだけ酔ったかもしれない。
ことが重大になる前に、早めに抑制しておこうと思い、予め準備しておいた酔い止めのドロップをリュックサックのポケットから取り出した。それから、読んでいた学習のしおりを閉じてリュックにしまう。
文字を見ると、余計に酔ったような気分になるからだ。
小袋を開け、ドロップを口に放り込む。
ミント風味なので、口から鼻にかけて爽やかさが通り抜けてさっぱりした。
「……酔い止めか？」
1連の動作を見ていた彼が質問する。
「うん。ちょっと酔ったかも」
「そうか」
「焦凍君は平気？」
「いや、俺も少し……」
どうりで、ずっと車窓からの風景を眺めていたわけだ。
ちょっと納得。
「そんなんだ。ドロップまだあるからあげるよ。ミント味でよければ、だけれど」
そう言い、新しいドロップの小袋を取り出して見せた。
「ミントは別に嫌いじゃない。ありがとな、雪園」
「どういたしまして」
彼にドロップの小袋を渡す。
すると、早速ドロップを取り出して私と同じように口に放り込んだ。
「……いいな、これ」
「ね、さっぱりするよね」
それからまた会話はなくなり静けさが訪れたが、それもまた心地良かった。
二人で同じことをしているからだろうか。
* * *
宿泊学習が終了し、帰りのバスの中。
行きよりも強い雨が降っていたが、車内はこれまた行きよりも騒がしい。
きっと、楽しいことが終わってしまったからだろう。大雨のせいで二日目の散策が中止になったから、疲れがないというのもあるだろうが。
「なあ、雪園。聞いてくれないか？ ……俺の個性の事｣
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ハん - 本当に素敵な作品です❣️私涙脆いので泣けてきちゃいました。続きまっってます❗️ (10月18日 20時) (
レス) @page26 id: add9586351 (このIDを非表示/違反報告)
ここ(プロフ) - このお話大好きです！個性がエルサみたい！かわいい！ (2022年1月13日 18時) (レス) @page2 id: ff535d7292 (このIDを非表示/違反報告)
サブとバラ(プロフ) - いちごさん» コメントありがとうございます！こんなに褒めていただけるだなんて、ものすごくうれしいです。更新頑張ります！ (2021年5月13日 22時) (レス) id: 1484373297 (このIDを非表示/違反報告)
いちご(プロフ) - 素敵な作品ですね！夢主の儚い感じと誰でもやり過ぎなく平等に接している感じが好きです！慕ってくれている人がいるって言うのも素敵だと思いました！更新頑張って下さい！！ (2021年5月4日 18時) (レス) id: a2b06cd108 (このIDを非表示/違反報告)
サブとバラ(プロフ) - アニオタさん» 返信が遅れてしまい、申し訳ありませんでした……。コメントありがとうございます！私自身、エ○サが大好きですので、そこからオマージュさせていただいたのです。鋭いですね！本日から更新スタートいたしますので、これからも応援よろしくお願いいたします！ (2021年4月1日 10時) (レス) id: 4ca3bc2d2a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：サブとバラ x他1人 | 作成日時：2019年10月21日 23時
