No.26 ページ26
＊
勉強の件だが、何と、轟焦凍君に教えてもらうことになった。
勿論、彼には社会を教える、という互いに利がある方法で、である。
彼ほど強力な人材はないだろう。
「でも大丈夫？」
「？」
「家、近いわけじゃないでしょ」
そう、彼の家から私の家は遠い。
勉強会をする時間があるのだろうか。
「それなら、あの駅にあるカフェかなんかでいいだろ。俺の家は学校から近ぇし」
「いいの？ じゃあ、お願いしようかな」
「おう」
あの駅、とは彼がお詫びと言ってお茶を奢ってくれたり、しのぶちゃんに遭遇したところのことだ。
それにしても、つくづく彼は親切だ。
「ありがとう、焦凍君」
「いや、お互い様だ」
ということで、彼との勉強会が決まった。
その後も日程などを決め、勉強会は来週からに決定した。
* * *
その日、テスト結果が著しくなかったにもかかわらず、家族はあたたかく私に接していた。
翌日……明日は私が転生した日、つまり今世での誕生日である。
すっかり忘れていた。
テスト結果のことで頭がいっぱいだったというのもあるが、忘れる原因は前世の記憶によるところが大きい。
なぜなら前世での誕生日は、冬だったからだ。今は８月なので、日付が全く違う。
生まれ変わって違う人生を歩んでいるというのに、私はいつまで経っても前世に引っ張られている。
そうか、もう、誕生日か。
転生したと自覚した時のことを思い出せば、前世の平和な頃の風景、絶望した瞬間、地獄のように思えた鬼狩りの日々。そして、最期に見えた鬼の顔。
全てが、総てが頭を駆け巡る。
そして不意に、涙が出そうになる。
もし私が前世の記憶なんてもって生まれなければ、きっと何も知らない本当の子供のように無垢なままでいられたかもしれない。
くるかもわからないような不明瞭な明日に、希望や夢を抱いていたかもしれない。
でも。でも。
玄弥君やしのぶちゃん、カナエさんのことは、彼らのことは絶対に忘れたくない。
もし彼らが忘れてしまっていても、私は彼らのことを覚えていたい。
思考は混沌と渦を巻き、終わりそうもない螺旋に陥る。
頭痛がして、もう何も考えたくない。
自室の畳の上に横になる。このまま少し眠ってしまおうか。
その時、机の上に置いたスマホが鳴った。
憂鬱に起き上がって確認すれば、画面には“爆豪勝己”の文字があった。
＊
続く (更新停止中)
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ハん - 本当に素敵な作品です❣️私涙脆いので泣けてきちゃいました。続きまっってます❗️ (10月18日 20時) (
レス) @page26 id: add9586351 (このIDを非表示/違反報告)
ここ(プロフ) - このお話大好きです！個性がエルサみたい！かわいい！ (2022年1月13日 18時) (レス) @page2 id: ff535d7292 (このIDを非表示/違反報告)
サブとバラ(プロフ) - いちごさん» コメントありがとうございます！こんなに褒めていただけるだなんて、ものすごくうれしいです。更新頑張ります！ (2021年5月13日 22時) (レス) id: 1484373297 (このIDを非表示/違反報告)
いちご(プロフ) - 素敵な作品ですね！夢主の儚い感じと誰でもやり過ぎなく平等に接している感じが好きです！慕ってくれている人がいるって言うのも素敵だと思いました！更新頑張って下さい！！ (2021年5月4日 18時) (レス) id: a2b06cd108 (このIDを非表示/違反報告)
サブとバラ(プロフ) - アニオタさん» 返信が遅れてしまい、申し訳ありませんでした……。コメントありがとうございます！私自身、エ○サが大好きですので、そこからオマージュさせていただいたのです。鋭いですね！本日から更新スタートいたしますので、これからも応援よろしくお願いいたします！ (2021年4月1日 10時) (レス) id: 4ca3bc2d2a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：サブとバラ x他1人 | 作成日時：2019年10月21日 23時
