No.21 ページ21
＊
私は、折寺中学校に訪れていた。
折寺中学校は出久君と勝己君、それから玄弥君の通う市立中学校である。
出久君に頼み、玄弥君にも了承を得て彼に会いに来たのだ。了承してくれたあたりから、彼が私のことを覚えていることがわかる。
それだけでも、嬉しい。
校門前で待っていると、「お待たせ、Aちゃん！ HR長引いちゃって……」と出久君の声が聞こえた。
そして、その後ろには懐かしい雰囲気をもった男の子。
ああ、久しぶりだなぁ。
「不死川君、連れてきたよ」
「……ありがとう、出久君。それに、玄弥君も」
「……」
前世の記憶となんら変わりない彼の、気恥しそうな、でも泣きそうな表情が瞳に移る。
「久しぶり、玄弥君」
込み上げてくる涙をぐっと堪えて、自身の中の最大の笑顔で、そう言った。
「……A、さん…………」
彼は前世のように私の名を呼び、口元は笑みを浮かべながら涙した。
そんな彼の姿、表情を見て我慢が途切れ、私の涙はとめどなく溢れ出した。
拭っても拭っても、止まることを知らないその涙は、私の心の奥底にあった寂しさや悲しさ、虚しさを消してくれて。胸の内がじんわりと温まっていくように感じた。
思わず、私は玄弥君を抱き寄せた。
「ぅわっ!! Aさん!?」
「ごめんね、玄弥君。もう少しだけ……」
成長期がすでに訪れていたのか、彼は前世のように逞しい体躯で、温かかった。
やっと仲間を見つけた。
私はもう、独りではないんだ。
少し経ち、玄弥君から離れた。
いつまでも抱き締めていたいけれど、それはちょっと迷惑だしね。
出久君は私達を優しく見ていてくれた。
彼には、本当に感謝しかない。
玄弥君はというと、前世の記憶もあってとっくに思春期は過ぎているだろうに、頬のみならず顔全体と首、耳まで紅潮させていた。
流石に接触するのは恥ずかしいのかな。
私も、今になって少し恥ずかしい思いにかられる。
「よし、じゃあ三人で帰ろう」
「うん！ ほら、不死川君も」
「あ、出久待って！」
私は喜びと幸せに胸いっぱいになりながら、三人で他愛もない談笑で盛り上がりながら帰った。
その後、玄弥君にこっそりと教えてもらったのだが、彼は上弦の壱・黒死牟によって死んでしまったらしい。
そしてその時、無一郎君も彼同様に亡くなったそうだ。
彼も、この世界のどこかで生きているのかな？
会えるのかな？
＊
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ハん - 本当に素敵な作品です❣️私涙脆いので泣けてきちゃいました。続きまっってます❗️ (10月18日 20時) (
レス) @page26 id: add9586351 (このIDを非表示/違反報告)
ここ(プロフ) - このお話大好きです！個性がエルサみたい！かわいい！ (2022年1月13日 18時) (レス) @page2 id: ff535d7292 (このIDを非表示/違反報告)
サブとバラ(プロフ) - いちごさん» コメントありがとうございます！こんなに褒めていただけるだなんて、ものすごくうれしいです。更新頑張ります！ (2021年5月13日 22時) (レス) id: 1484373297 (このIDを非表示/違反報告)
いちご(プロフ) - 素敵な作品ですね！夢主の儚い感じと誰でもやり過ぎなく平等に接している感じが好きです！慕ってくれている人がいるって言うのも素敵だと思いました！更新頑張って下さい！！ (2021年5月4日 18時) (レス) id: a2b06cd108 (このIDを非表示/違反報告)
サブとバラ(プロフ) - アニオタさん» 返信が遅れてしまい、申し訳ありませんでした……。コメントありがとうございます！私自身、エ○サが大好きですので、そこからオマージュさせていただいたのです。鋭いですね！本日から更新スタートいたしますので、これからも応援よろしくお願いいたします！ (2021年4月1日 10時) (レス) id: 4ca3bc2d2a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：サブとバラ x他1人 | 作成日時：2019年10月21日 23時
