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 あれから、錆兎君は自身の考えを押し付けようとはしなくなった。
 うん、素直で善い子だねぇ。


「いいか、やはりAには死んでほしくない。お前がどう言おうがお前の自害は俺と義勇が全力で阻止するからな!」

「私も!」

「俺と錆兎と真菰……と鱗滝さんで」

「うむ」

「皆私の事好き過ぎじゃないかい?」

「「当たり前!!」」

「うふふ、照れるよぉ」


 こう、ぐちぐち云われるのだけれど。
 でも其れは其れで楽しいからね。

 よーし、張り切って皆を煽るぞー。




* * *





 修行を始めて、凡そ三年経った頃、漸く鬼殺隊の最終選別へ行く事が決定した。

 今回行くのは私を含めて三人。錆兎君、義勇君、それから私だ。
 真菰ちゃんは未だ駄目らしい。

 最終選別に行くには、鱗滝さんから与えられた試練を突破しなければならなかった。
 錆兎君、義勇君は大岩を斬る事。
 私は、自身に合った呼吸を作る事。

 私は彼等とは違い、水の呼吸にあまり適性がなかったらしい。


 まァ、兎にも角にもその試練を突破した私達は最終選別が行われる藤襲山に訪れていた。
 餞別と云うか、お守りの様な狐面“厄除の面”を付けて。一つ一つ鱗滝さんが作って呉れた物だ。


「にしても、見事な迄に美しいねぇ」

「ああ、綺麗だ」

「藤の花……季節じゃないのに」


 此処、藤襲山の会場に向かう途中、沿道に藤の花が咲き誇っていた。
 鬼でなくとも、判り易い香りである。

 会場には、既に二十人程の受験者が集まっていた。

 説明に拠ると、此の最終選別では鬼が潜む山の中で七日間生き延びれば善いらしい。
 至極簡単な事の様に思える。


「では、いってらっしゃいませ」


 山の中に入れば、直ぐに判った。
 沢山の鬼の気配。其れも、此の受験者の倍以上の数。

 錆兎君、義勇君と別れ、藤の花が見えなくなる迄歩けば、直ぐに理性を放擲した鬼が襲い掛かってきた。


「全集中 虚の呼吸」




“壱ノ型 人間失格”





 鬼の頸が、音無くはねられた。
 そして、はらはらと消えて行く。

 此の“虚の呼吸”が、私が新たに作り出した呼吸だった。もう此の世界では、異能を発揮する事は出来ないが、此の呼吸が在れば似た様な事は出来る。
 此れを見た鱗滝さんは、信じ難いと云った面持ちで私を見つめていた。

 それから、「お前を認める」と云った。

 虚の呼吸を作ってまで、前世の皆を忘れまいとするのは、莫迦な事かな。

捌→←陸



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サブとバラ(プロフ) - 戯言さん» コメントありがとうございます!本当にお待たせいたしました。毎日とはいきませんが、更新停止にならないよう、少しずつ連載していきますので、どうかこれからも応援よろしくお願いします! (2021年4月1日 18時) (レス) id: 4ca3bc2d2a (このIDを非表示/違反報告)
戯言(プロフ) - 待ってました!!更新ありがとうございます!!! (2021年4月1日 18時) (レス) id: 2a27d057e9 (このIDを非表示/違反報告)
サブとバラ(プロフ) - Kuro4141さん» ありがとうございます!皆さんをお待たせしたくせして受験落ちるわけにはいきません……!イイとこ受かってお祝いの更新します! (2020年10月17日 22時) (レス) id: 89f5f989ea (このIDを非表示/違反報告)
Kuro4141(プロフ) - 気長にお待ちしております!受験頑張って下さい! (2020年10月17日 19時) (レス) id: 8db3a541f6 (このIDを非表示/違反報告)
常田(プロフ) - リヴさん» またまたリヴ様!! こうしてコメントを下さるのは何度目のことか……!! 嬉しい限りでございます!!!!! ありがとう!! (2020年4月26日 12時) (レス) id: 89f5f989ea (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:サブとバラ x他1人 | 作成日時:2019年10月19日 22時

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