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 二人分の体重に、怪力を持つ化け物も流石に身動き取れず、只じたばたと手足だけ暴れていた。


「こいつは何じゃ?」

「さァ……。見た目は人なのだけど」

「強盗か?」

「其れはないね。先ず、此奴には理性が無さそうだ。其れから、私を見るなり喰いかかってきたからね」

「……鬼、か」


 翁は“喰いかかってきた”に反応し、“鬼”と苦々しく云った。


「鬼? ……成程ね、人喰い鬼か」

「知っとるのか?」

「否、知ってはいないさ。只、異能とは全く違うから、其の方が合点がいくだけで」

「異能?」

「嗚呼、其処は気にしないで呉れ給え」


 異能なら、操られているにしても、其れ独特の文字列が在る筈だ。しかし、其れは無いし、気配も違う。
 此奴は、そもそも人の気配じゃない。


「其れで、此奴は如何しようか?」

「……鬼狩り様が来て下されば良いが」

「へぇ……。鬼狩りも居るのか」


 そんな会話をしていると、また此方に向かってくる新しい気配が。
 今回も殺気を感じるが、先の鬼魅の悪さは無い。

 きっと、鬼狩りと云う者だろう。


「……噂を為れば影、てね」


 鬼が破った障子から、袴の様な装いで、刀を持った男が入ってきた。


「やぁ、君が鬼狩りかい?」

「……元、だ」

「何でもいいさ。此の鬼を始末して呉れるのならね」

「この鬼が家をめちゃくちゃにしおったのじゃ。頼みます」

「……では退け」


 この男の気配は、明らかに熟練した者の覇気が在った。
 腕を信用して翁と共に鬼から退き、急いで後方へ下がった。


「ぅがぁあ!!!!」

「……壱ノ型 水面斬り」


 立ち上がった鬼に、素早く刀を構えて抜刀し、まるで水の如く流麗な剣技で鬼の頸を飛ばした。
 すると、鬼は頭部も胴部もさらさらと砂塵の様に宙を舞い、消滅した。


「鬼は、頸が急所なのか……」

「流石、鬼狩り様じゃ」


 其の男は、天狗の面で顔を隠していたが相当歳を重ねている。
 恐らく、此の翁より。

 だのに、私が力で負けた強靭な鬼をいとも容易く殺した。

 此れは素晴らしい。
 異能力者でも無いので、何かしら秘技が有るのだろう。


「娘、この鬼をどうやって抑えた?」

「ん? 嗚呼、大した事は何も。そうだねぇ……強いて云うのなら、力では確実に負けるから技巧を駆使した、のかな」

「そうか……。
 娘、鬼狩りになる気はあるか?」


 私の判断力を買われたのだろうか。


「其れ、人を救う仕事が出来ますか?」


 そう云った。

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サブとバラ(プロフ) - 戯言さん» コメントありがとうございます!本当にお待たせいたしました。毎日とはいきませんが、更新停止にならないよう、少しずつ連載していきますので、どうかこれからも応援よろしくお願いします! (2021年4月1日 18時) (レス) id: 4ca3bc2d2a (このIDを非表示/違反報告)
戯言(プロフ) - 待ってました!!更新ありがとうございます!!! (2021年4月1日 18時) (レス) id: 2a27d057e9 (このIDを非表示/違反報告)
サブとバラ(プロフ) - Kuro4141さん» ありがとうございます!皆さんをお待たせしたくせして受験落ちるわけにはいきません……!イイとこ受かってお祝いの更新します! (2020年10月17日 22時) (レス) id: 89f5f989ea (このIDを非表示/違反報告)
Kuro4141(プロフ) - 気長にお待ちしております!受験頑張って下さい! (2020年10月17日 19時) (レス) id: 8db3a541f6 (このIDを非表示/違反報告)
常田(プロフ) - リヴさん» またまたリヴ様!! こうしてコメントを下さるのは何度目のことか……!! 嬉しい限りでございます!!!!! ありがとう!! (2020年4月26日 12時) (レス) id: 89f5f989ea (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:サブとバラ x他1人 | 作成日時:2019年10月19日 22時

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