118話 ページ32
「私は確かに政府公認頼まれ屋だ。緊急事態との命を受け、此処に来た。……二振りはどうして此処に？先程、主に命じられて、と聞いたけれど」
「そ。まー、偶々なんだけどね、俺も安定も」
「うん……つくづく、運が無いんだよね」
口調こそ変わらず軽いが、二振りの表情が少し曇る。
その理由は直ぐに思い当たった。
もしかしなくとも、この練度が高い二振りの主は、審神者だ。事態が発生した当時、偶然、そこに居合わせていただけの。分かってはいたつもりだったけれど、なんて恐ろしい話だろうか。
そして、審神者が政府に出向くときは、刀剣男士を大勢佩刀してはならない、という暗黙の掟がある。……この二振りを此処まで送りだした主は、無事なのか？
顔の強張りを読まれたのか、安定がふっと笑って口を開いた。
「頼まれ屋さん。僕達の主のこと、気にしてくれてるよね。大丈夫。僕たちは、主から送り出されて、此処に居る。必ず帰るって、約束してるから」
「まあ……そーいうこと。だから、心配しないで」
安定と清光はそう言って、そろそろ行こう、と私を促した。
嗚呼、そうか。これ以上聞いてはいけない。
私は頷いて、二振りの後を追う。
「そういえば頼まれ屋さん、あの大きい同田貫について何か知ってる？」
「同田貫……そういえば、三日月宗近が言っていたな。その刀は突然現れて、数多の刀種を身に宿している、と」
「へー、数多のってことは……打刀だけじゃない、全部の刀種ってことだよな。例の大きい同田貫、どう見ても、”大太刀”だったし」
「ああ。その前に私が会った同田貫は、”短刀”だった」
「おねーさん、短刀の同田貫も相手にしたの？大変だっただろ、それ」
振り返った清光があからさまに顔を顰めた。……全然構わないんだが、大変、の一言で済まされてしまうとは。この二振りは、やはり相当練度が高いらしい。
それは兎も角。
立て続けに襲撃され、考える暇も無かったが。
あの同田貫正国たちは、一体、何なんだ？
「あ、刀剣男士の同田貫って、確か各地の同田貫の集合体なんだっけ。……それなら、大太刀の同田貫だって、鍛刀されるかも」
「なるほど、頭いーじゃん、安定。でもさー、もしそうだったら、他の刀種もいないと、辻褄合わないよね？」
「ああ。短刀と大太刀以外……」
多くてあと四振り、というところだろうか。
まだ先は長そうだ。
刀が、持ってくれるといいが。
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小生(プロフ) - 久しぶりにこのサイトを覗かせてもらい、こちらの作品の新しい話を読むことができてとても嬉しかったです！これからも応援しております！ (2021年10月7日 21時) (
レス) @page25 id: 622fb3de14 (このIDを非表示/違反報告)
こばひな(プロフ) - アヅマさん» 頑張ってください！！応援してます！！！ (2019年5月9日 22時) (レス) id: 36295a5c6d (このIDを非表示/違反報告)
アヅマ(プロフ) - こばひなさん» コメントありがとうございます。当方忙しく更新が滞っていて申し訳ないです…。とにかく完結までは走り続けるので、店主の活躍を温かく見守って頂けると嬉しいです！ (2019年5月9日 1時) (レス) id: 7a303d5d51 (このIDを非表示/違反報告)
こばひな(プロフ) - この続きが気になります 続きをつくってもらえたらうれしいです (2019年5月6日 15時) (レス) id: 36295a5c6d (このIDを非表示/違反報告)
アヅマ(プロフ) - 雪音さん» コメントありがとうございます。面白いと言って頂けたようでうれしいです！時にリクエストとはどのようなリクエストでしょうか…？まずそれをお聞きしておきたいと思います。お願い致します。 (2019年4月6日 0時) (レス) id: 7a303d5d51 (このIDを非表示/違反報告)
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