109話 ページ23
「なんだ、これは……」
緊急ゲートを使って政府の玄関口に到着した瞬間、目に飛び込んできたのは異様な光景だった。
人間が、いたるところに倒れている。誰も彼もが傷口を抑え、時折小さなうめき声が聞こえる。赤く染まり誰もが動かない一階ロビーで、受付係の五虎退だけが、血を流しながらも手当てをしていた。
「ああっ、三日月さん、頼まれ屋さん！ぼ、僕、止められなくって……！」
「気にするな。それで、状況は？」
「懐刀を含めて、戦える人達は、さっき20階に召集命令が出ていました……でも、もう……どうなっているのか、僕には……」
「いや、大丈夫だ。よくわかった。成る程……早く上に合流すべきだな。救援要請は？」
「お役人の方が……手当たり次第に、出してました。僕が顕現できてるので、まだ、……大丈夫なんだと思います、けど……」
五虎退の瞳から、大粒の涙がこぼれた。彼がここで手当てをしているのは、きっと主に命じられたからなのだろう。しかしそれでは、彼の主は丸腰同然だ。
酷い状況だ。一刻も早く、解決しなくてはならない。
「エレベーターは使えるか？」
「ふむ、電源を切られているようだ」
「まあそうだろうな……！すべてのフロアで生存者を探すのは時間が許さない。さてどうするか……」
とはいえ、話に聞く嵐のような制圧ぶりでは、生存者といえども、一刻も早い手当てが必要な状態だろう。頼まれ屋たるもの、見過ごしてはおけないが……
しかし、三日月の主の援護に行かなくてはいけないもの事実だ。彼の主は今、同田貫正国と今この瞬間も対峙しているかもしれないのだから。
「政府の他のビルには同田貫は来たのか、三日月殿」
「うむ。俺達が気づいた時にはもう手遅れだった。ここが一番大切な拠点だ、落とすわけにはいかん」
「……！五虎退殿！救援が来たら、その人たちには生存者を探すよう伝えてほしい！」
「は、はいっ！でも、皆さんは……」
五虎退のことばに、岩融は笑って、力強く応えた。
「なあに、心配するな！我らは政府公認頼まれ屋。必ずや、政府に攻めこむ敵をも屠ってみせようぞ！」
「……嗚呼……勿論、勿論だ。さあ行くぞ！岩融、三日月殿！ここからは時間との勝負だ！」
「あい、わかった！」
「承知した！」
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小生(プロフ) - 久しぶりにこのサイトを覗かせてもらい、こちらの作品の新しい話を読むことができてとても嬉しかったです！これからも応援しております！ (2021年10月7日 21時) (
レス) @page25 id: 622fb3de14 (このIDを非表示/違反報告)
こばひな(プロフ) - アヅマさん» 頑張ってください！！応援してます！！！ (2019年5月9日 22時) (レス) id: 36295a5c6d (このIDを非表示/違反報告)
アヅマ(プロフ) - こばひなさん» コメントありがとうございます。当方忙しく更新が滞っていて申し訳ないです…。とにかく完結までは走り続けるので、店主の活躍を温かく見守って頂けると嬉しいです！ (2019年5月9日 1時) (レス) id: 7a303d5d51 (このIDを非表示/違反報告)
こばひな(プロフ) - この続きが気になります 続きをつくってもらえたらうれしいです (2019年5月6日 15時) (レス) id: 36295a5c6d (このIDを非表示/違反報告)
アヅマ(プロフ) - 雪音さん» コメントありがとうございます。面白いと言って頂けたようでうれしいです！時にリクエストとはどのようなリクエストでしょうか…？まずそれをお聞きしておきたいと思います。お願い致します。 (2019年4月6日 0時) (レス) id: 7a303d5d51 (このIDを非表示/違反報告)
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