108話 ページ22
穏やかな水音が聞こえる。
まだ纏わりついてくる眠気を払うように目を開けると、うららかな午後の日差しが降り注いでいた。
嗚呼、しまった。うっかりソファに座り込んだまま、昼寝をしてしまったらしい。
「岩融、起こしてくれてもいいだろう」
「っは、あんまり気持ち良さそうに寝ていたものでな。最近忙しかったろう、主よ。皿洗いくらいは俺にも任せるがよかろう」
「……お前には敵わないな」
苦笑して起き上がる。うんと伸びをして、弾みをつけてから立った瞬間、チャイムが鳴った。
「お？」
「依頼か！」
手を泡だらけにした岩融の代わりに玄関を開けると、そこには青いスーツを纏った見目麗しい美青年が立っていた。思わずはっと息をのんだのは、その青年に物凄く見覚えがあったからだ。
息を切らせて玄関に駆け込んできた彼を見て、遅れてきた岩融も目を見開いた。
「三日月殿か！何があったのだ」
「うむ、悪いな。緊急事態だ。簡潔に言おう、複数の刀が暴れている。場所は政府だ」
「政府……！？本当か、それは！」
「ああ。他の刀が応戦しているがもう持たんやもしれんな。俺はまだ練度が低いゆえ、此処に行くよう指示された。頼まれ屋殿、岩融、一緒に行ってくれぬか」
勿論だ、と頷いた岩融が準備をするために奥へ引っ込んでいるうちに、私は三日月宗近から状況を聞き出す。彼はおおむねはっきりとした口調で、早口で話をしてくれた。
「その刀は、突然政府本部に現れた。現在は各フロアを占拠しようとしているが、目的は未だ分かっておらぬ。しかし、あやつらは強いな。違和感を感じるほどだ。政府には戦える刀はあまり居ない、最早時間の問題だろう」
「深刻な状況だな……岩融、来たか」
「うむ。主、刀だ。そして三日月殿、一番大事な情報が抜けておらぬか？その襲撃してきた刀とは、一体」
三日月はその瞳を瞬かせ、眉を寄せた。
嫌な予感に襲われ、思わず唾を飲み込む。
「すまんな、忘れていた。
あやつは複数で顕現し、数多の刀種を身に宿していた。量産された同じ銘を持つ刀達の習合体。最も折れぬ刀と呼ばれている。
その刀の銘は、同田貫正国」
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小生(プロフ) - 久しぶりにこのサイトを覗かせてもらい、こちらの作品の新しい話を読むことができてとても嬉しかったです！これからも応援しております！ (2021年10月7日 21時) (
レス) @page25 id: 622fb3de14 (このIDを非表示/違反報告)
こばひな(プロフ) - アヅマさん» 頑張ってください！！応援してます！！！ (2019年5月9日 22時) (レス) id: 36295a5c6d (このIDを非表示/違反報告)
アヅマ(プロフ) - こばひなさん» コメントありがとうございます。当方忙しく更新が滞っていて申し訳ないです…。とにかく完結までは走り続けるので、店主の活躍を温かく見守って頂けると嬉しいです！ (2019年5月9日 1時) (レス) id: 7a303d5d51 (このIDを非表示/違反報告)
こばひな(プロフ) - この続きが気になります 続きをつくってもらえたらうれしいです (2019年5月6日 15時) (レス) id: 36295a5c6d (このIDを非表示/違反報告)
アヅマ(プロフ) - 雪音さん» コメントありがとうございます。面白いと言って頂けたようでうれしいです！時にリクエストとはどのようなリクエストでしょうか…？まずそれをお聞きしておきたいと思います。お願い致します。 (2019年4月6日 0時) (レス) id: 7a303d5d51 (このIDを非表示/違反報告)
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