106話 ページ19
「主！」
「おお。迎えに来てくれたのか？」
「うむ、此方は俺一人で済んだ。しかし……何やら大所帯になっておらんか」
焦ったように珍しく大きな足音を立ててばたばたと走ってきた岩融は、私の後ろに居る数多の刀と、政府の役人を見て首をひねった。
しかし人前では豪放磊落な彼のことだ、私の状態を確認すると直ぐに目を細めて微笑んだ。
「怪我をしたと聞いていたが……案外平気そうだな、主」
「ああ、うん……少し無理をしすぎてな。大事には至っていないから、安心してくれ。普通に徒歩で帰れるよ」
「岩融さん、すみませんでした……頼まれ屋さんのお怪我は私の到着が遅れたせいです」
「む、別に構わんぞ」
どうせ俺の主が無理をしたのだろう、と続けて、岩融は平身低頭する溝口の頭部を軽くつついた。……むう、少し癪だが彼には筒抜けなのか。まあ長い間一緒にいれば、私の癖くらいは見抜くよな。
「にっかり殿、豊前殿、篭手切殿、太郎太刀殿、主が世話になった。礼を言う」
くるり、と数多の刀に向き直った岩融は軽く目礼し、ニッと歯を見せて笑った。かと思えば彼は驚いたような声でほう、と頷き、豊前江と篭手切江が顔を見合わせた。
「いかにも、太郎太刀殿の他は、本霊だな？」
「本霊？……そうなのですか？溝口さん」
「ええと、その、ハイ……青江さんは自発的に行くとおっしゃってくれたのですが、この二振りには私から頼み込みまして……頼まれ屋様にお教えするのは申し訳なかったんですが、そうです」
「まあ、そんなとこだな！溝口を責めないでやってくれよ」
「私からもお願い致します。久々にお役に立てて、嬉しかったですから」
責めるつもりは、と私は笑いかけてみせる。
岩融が来たことで、少し気を抜いてしまったらしい。客商売の一端も兼ねているから、笑顔を見せるのは割と得意なはずなのにな。まあ、いいか、それは。
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小生(プロフ) - 久しぶりにこのサイトを覗かせてもらい、こちらの作品の新しい話を読むことができてとても嬉しかったです！これからも応援しております！ (2021年10月7日 21時) (
レス) @page25 id: 622fb3de14 (このIDを非表示/違反報告)
こばひな(プロフ) - アヅマさん» 頑張ってください！！応援してます！！！ (2019年5月9日 22時) (レス) id: 36295a5c6d (このIDを非表示/違反報告)
アヅマ(プロフ) - こばひなさん» コメントありがとうございます。当方忙しく更新が滞っていて申し訳ないです…。とにかく完結までは走り続けるので、店主の活躍を温かく見守って頂けると嬉しいです！ (2019年5月9日 1時) (レス) id: 7a303d5d51 (このIDを非表示/違反報告)
こばひな(プロフ) - この続きが気になります 続きをつくってもらえたらうれしいです (2019年5月6日 15時) (レス) id: 36295a5c6d (このIDを非表示/違反報告)
アヅマ(プロフ) - 雪音さん» コメントありがとうございます。面白いと言って頂けたようでうれしいです！時にリクエストとはどのようなリクエストでしょうか…？まずそれをお聞きしておきたいと思います。お願い致します。 (2019年4月6日 0時) (レス) id: 7a303d5d51 (このIDを非表示/違反報告)
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