102話 ページ15
「ぐ……！」
幽霊と刀を交わすというのもなんだかおかしな話だが、間合いを詰めてギリギリまで刀を付き合わせるしかなかった。これらは向こうに居た"幽霊"よりもはるかに力強い。力で押されそうになっていると、途端に相手がこちらに倒れかかってくる。
「青江さん！」
「ふう。危なかったね」
「青江殿、！」
太郎太刀が青江の背後に立った幽霊を一刀両断する。何分経ったかは分からないが、敵は減る気配がない。何分……いや、もしかすると何時間かもしれない。時間の感覚が分からなかった。
上がる息を整え、襲いかかってくる敵に対応する。筋肉が悲鳴を上げ始めた。刀の柄が汗で滑った。最近動いてなかったからな……こんなに！
青江と太郎太刀のほうを窺うと、彼らはまだ余裕があるようだ。はあ……女の身体とは、なんとも不便だな。
「ふ、っ！僕が、思うにね。ここに突破口などないと思うんだ。三人同時に、っと！力を集約させるしか、ないんじゃないかな」
「なるほど。……この状況ならば、賢明な判断と言えそうです、っ」
「この空間を打ち破るのか？それならば、隙を作らないと難しそうだ……ふんっ」
斬りながら話を続けるのもしんどくなってきた。
青江も太郎太刀も同じようだ。
早く決めるしかない。
勿論一か八かの賭けではあるが、成功すれば私達の勝ちだ。相手は途方のない闇、ではなくなる。
「やろうか。もうかなり限界だろう？」
「了解。まずは太郎太刀さん、頼みましたよ」
「ええ！承りました！」
太郎太刀は凛々しく叫び、その大太刀をブンッと大きく振るった。初陣ながら経験値が積み重なった強烈な一撃が、幽霊の一団を襲う。一定範囲の敵がその刃を受けて倒れる。
その隙間を縫い、私と青江は駆けた。
太郎太刀が追い付いてくる時間を舌打ちで測る。今だ！と青江が大声で叫んだ。
「たあっ!!!」
「ふんっ！」
「どおりゃあっ!!」
全ての力がひとつの空間に掛かる。歯を食いしばる青江の苦しそうな息づかいが、普段はどこの本丸でも物静かな太郎太刀が吼える声だけが、はっきりと響く。
瞬間、ピシッと大きな音が空間に広がった。
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小生(プロフ) - 久しぶりにこのサイトを覗かせてもらい、こちらの作品の新しい話を読むことができてとても嬉しかったです！これからも応援しております！ (2021年10月7日 21時) (
レス) @page25 id: 622fb3de14 (このIDを非表示/違反報告)
こばひな(プロフ) - アヅマさん» 頑張ってください！！応援してます！！！ (2019年5月9日 22時) (レス) id: 36295a5c6d (このIDを非表示/違反報告)
アヅマ(プロフ) - こばひなさん» コメントありがとうございます。当方忙しく更新が滞っていて申し訳ないです…。とにかく完結までは走り続けるので、店主の活躍を温かく見守って頂けると嬉しいです！ (2019年5月9日 1時) (レス) id: 7a303d5d51 (このIDを非表示/違反報告)
こばひな(プロフ) - この続きが気になります 続きをつくってもらえたらうれしいです (2019年5月6日 15時) (レス) id: 36295a5c6d (このIDを非表示/違反報告)
アヅマ(プロフ) - 雪音さん» コメントありがとうございます。面白いと言って頂けたようでうれしいです！時にリクエストとはどのようなリクエストでしょうか…？まずそれをお聞きしておきたいと思います。お願い致します。 (2019年4月6日 0時) (レス) id: 7a303d5d51 (このIDを非表示/違反報告)
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