弱いのに。{緑} (ページ7)

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降霊術なんてやるもんじゃないわ。7 ページ7

どれくらい時間が経ったか。

1分ない気もするし、5分以上経った気もする。

やけに静かだ。聞こえるのは2人分の心臓の音と、荒い息遣いの音だけ。

『ちょっと見てくる』

と「待って、俺が行く」

『ううん、大丈夫。私に行かせて？』

と「...っなんかあったら言えよ」

『ありがとう、としみつ』

そんな彼の優しさをしみじみと感じながら
クローゼットの戸を開け恐る恐る外に出る。

クローゼットの扉がキィ...と音を立てた。

『てっちゃ....?』

部屋に向かって声をかけるも、返事がない。

『ねぇ、てっちゃん？いる？』

返事が、ない。

『嘘やん......』

てつやがいつも編集しているデスク。

時々出す白い低めのテーブル。

そのどちらの下にもてつやはいなかった。

クローゼットの隙間から覗いていたが、

ちゃんとてつやはデスクの下に潜り込んだ。

なんで、どうして、なにが起きた？

争ったような痕跡もない....あ、

デスクの上にあった2Lの水が倒れて、水がバシャバシャと溢れている。

ちゃんとフタしてってあれ程言っていたのに。

後は、ポツリ残されたカメラ。

それ以外何も異常はない。いや、異常しかないのに

それを異常と認めてしまえば、私が壊れてしまう気がした。

他にあるとすれば、さっきまで閉じていたドアが少し開いているくらいだ。

そっちのが重要じゃんか水なんかどうでもいいわアホか私←

部屋を一周して色々な所を調べた。

でも、それ以外何も見つけられなかった。

この部屋にてっちゃんは、いない。

消えちゃったんだ。今さっき。

映像から手掛かりを得ようと落ちていたカメラを拾い上げると、持ち手にてつやの汗ばんだ手の跡が感じられた。

結局、机の下に入った所で録画は切れていた。

何やってんだ、YouTuber。

『としみつ、部屋移動しよ』

『としみつ？』

返事がないので、痺れを切らしてクローゼットを開ける。

『いや.....うそ、だって、さっきまで...』

やはり、部屋には誰もいないようだ。