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「あ、やっぱり今日も来てくれたんだ」
『来ちゃいましたね〜。これ、差し入れです』
午後10時。私もしがない学生。生計を立てるために飲食店のバイトへ行っている。そのため、こうやって会えるのは基本的に遅い時間になりそうだ。
『アモル、おやつ買って来たよ〜』
みゃあ、と鳴きながら私の膝へちょこんとジャンプするアモルが可愛くて、思わずスマホのカメラを向けた。相変わらず白い毛並みは整えられていて、とても美人な猫だ。
「…お、プリン?」
『今日コンビニ寄ってきたんで。あ、勝手に買ってきちゃったけど、アレルギーとかありましたか?』
「いや、特には無いかな。プリンはねぇ、僕の職場の先輩がすごい好きなんだ」
『そういえば、ヒョンジンさんってどこで働いてるんですか?』
バイトしているのは知ってたけど、どこでかは聞いていなかったのを思い出した。自分の家の近くは、今まで会っていてもおかしくないので除外した。
「隠れ家的なカフェなんだ。お客さんは基本、誰かの紹介かたまたま見つけた人しか入れないんだ。口コミも禁止だから、調べてもあんまり出てこないと思うよ」
『へぇ…!なんか、魔法のカフェみたいですね!』
「魔法の?」
『そうですよ!選ばれた人しか入れない、特別な魔法のかかったカフェ!そういうの好きなんですよね〜』
そこまで話して、しまった、と口を押さえた。つい、ファンタジーな世界を想像しがちだから、いつも周りの人によく引かれていた。
ヒョンジンさんも引いてるんじゃないかと俯くと、上から笑い声が降ってきた。思わず顔をあげると、ヒョンジンさんは優しい目で私を見た。
「良いね、魔法のカフェ。そういうファンタジックなの、僕も好きだなぁ」
「じゃあ、今度Aさんが大学休みの日、連れてってあげるよ。僕の紹介だったらすぐに入れると思うよ」
『良いんですか…?』
「もちろん。というか、来て欲しいな。カフェとかさっき言った先輩とか紹介したいんだけど、どうかな?」
『めっちゃ行きたいです!ヒョンジンさんの働いているカフェ、すごい気になります!』
「じゃあ決まり。ちょっと待ってね…僕の連絡先あげる」
ヒョンジンさんはそう言って、自分のスマホを取り出し、ささっとスマホを操作すると、自分の連絡先を表示させた。私も急いでスマホを取り出し彼の番号を登録する。
連絡先一覧に登録された、ファン・ヒョンジンの文字がキラキラして見えた。
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作者名:MICKEY | 作成日時:2024年2月23日 16時