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はぁ?という顔をしながらも、イエニは私の話を聞く。ここで嘘だとか言わずに信じてくれるから、夢見がちな私とも友達でいてくれるんだろうな。



『いや、王子様っていうのは比喩ね?あの人バイトしてるらしいし。普段は絵描きさんなんだって』


「それ大丈夫?怪しい宗教の人とかじゃない?」


『まさか。大丈夫だよ…多分』


「多分って。で、その王子様がバッグとなんの関係があるの?」


『これその人からもらったんだよ。この絵は自分で描いたんだって』


「へぇ…凄いね。めっちゃ綺麗だ」


『でしょ?』


「なんでAが自慢げなの」




ハンバーグを頬張りながら、イエニは怪しげに眉をひそめた。まぁその反応が正しいのだろう。第一、私自身も彼についてよく知らないのだから、安全な人かは分からない。

でも、私はこの出会いが運命的なもので、きっと良い未来への一歩なんじゃないかと信じたいんだ。




『心配してくれてありがとう。でも、私はもっとあの人と話してみたいって思ってる』


「ふーん…ま、危ない目に遭ったりしたら言ってよね」


『その時は全力で頼らせていただきます』


「一回500ウォン」


『金取るの?』





大学からの帰り、結局昨日の夜買いそびれたペンのインクを買うためコンビニに寄った。イエニはバイト。実はイエニのバイト先を知らない。教えてくれない。

甘い物が欲しくてスイーツコーナーへ足を運ぶ。

(…なんか買っておこっかな)

2人分のプリンとアモル用のおやつを持って、レジへ向かった。682円です、と店員さんに言われ財布を取出したとき、レジ横のチラシや割引券が雑多に置かれているコーナーが目に入った。




『絵画展…』


「貰っていきます?」




店員さんが、絵画展の広告を1枚とって渡してくれた。




「ここからそう遠くもない美術館らしいですよ。チラシいっぱいあるんで、ぜひ貰っていって下さい!」


『そうなんですね。ありがとうございます』




全然知らない画家の名前だし、誰か一緒に行く人がいるわけでもない。けど、絶対に行きたいって思いが強かった。私は人に影響されやすい方だ。

にしても、今の私は絵画や美術の言葉に過剰反応している気がする。彼を思い出すからなのか。彼の影響なのか。こんなにも気になってやまないとは自分でも思っていなかった。まだ会って1日経っていないのに。


(今日もいるかな、ヒョンジンさん)


コンビニのレジ袋に入った2つのプリンが揺れていた。

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作者名:MICKEY | 作成日時:2024年2月23日 16時

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