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「あれ、ヒョンジン?」
彼の名前を呼ぶ声がした。後ろを向けば、おそらく学芸員の方がいた。近づいて来るその人の名札には、〚キム・スンミン〛と書かれている。ヒョンジンさんの知り合いだろうか。
「スンミナか!久しぶり」
「高校以来だよね?まさか会えると思ってなかった」
「そっちこそ、学芸員やってたんだね。美術からはもう離れたと思ってた」
「いや、普段は違う仕事してるよ。今は大学の先輩に頼まれて臨時で入ってたんだ。ところで、そのお隣の人は?」
『えっ、あ、Aです。XX大学に通ってます』
「じゃあ僕と大学は違うね。ヒョンジニの彼女さん?」
『あー、彼女では無いです』
「今のところ、僕が一番仲の良い女の子」
ヒョンジンさんがそう言うと、そう言うことね…とスンミンさんは頷いた。彼は何かを理解したらしい。そんな顔をしていた。
話によると、ヒョンジンさんとスンミンさんは同じ高校出身で、同じ美術部だったらしい。と言ってもスンミンさんは美術苦手だったらしいけど。
「ヒョンジニの絵を眺めるのが部活動のほとんどだったんだ。なんか見ちゃうんだよね」
『あ、分かりますその気持ち』
「もしかして絵見せてもらってる?だとしたら凄いね。」
『なんでですか?』
「ヒョンジナ、基本的に心を許した人ぐらいにしか絵を見せないから」
「スンミニそれ以上言わないで」
スンミンさんは、ごめんごめん、と楽しそうに言った。心を許した人にしか絵を見せない。それはつまり私には心を許してくれているってことなのかな。思わずヒョンジンさんの方を見ると、少し顔が赤くなっているように見えた。
「スンミナ。ここに居たんだ」
「あ、チャニヒョン。すみません、ちょっと知り合いに会って」
しばらく話していると、ガタイが良さげな男の人が歩いてきた。スーツ姿を見る限り、学芸員の方だろうか。近づいて来る首元には名札が下げられていた。
「初めまして、副館長のバンチャンです。スンミニのお友達なんだね」
「ヒョンジニはそうで、その隣の子は僕も初めて会いました。ヒョンジニ、多分…」
「言わなくていいから」
バンチャンさんもニコニコして私たちの方を見た。何がなんだかよく分からないけど、せっかく会ったことだし4人で話し始めた。
ただ元美術部二人に美術館の副館長となると、絵の話が多いためついて行けない。私は3人が話すことに、たまに相槌を打つ程度で楽しんでいた。
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作者名:MICKEY | 作成日時:2024年2月23日 16時