Fairy Tale【Hyunjin】 (ページ13)

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『実は…今、好きな人が居るんです』

2人が真剣な顔をして話を聞くから、私も思わず肩に力が入る。そして、好きな人が居る発言をした途端、リクスはおぉ〜という顔をして、ビニ先輩は

「チンチャ！？やーAに春が！いつから？誰？」

と質問攻め。うるさい。

「まぁビニヒョン落ち着いて。A、その話詳しく聞かせて？」

「まず、どこの人？」

『家の近くの公園で会った人なんだ。私の…一目惚れに近いかも』

「ロマンチック〜！」

まだ動きが騒がしいビニ先輩をたしなめて、リクスは一つ一つ質問をしていった。何だこれ恥ずかしい。
ヒョンジンさんと出会った経緯、彼のこと、昨日カフェに行ったこと(もちろん場所は伏せた)について話した。

「聞けば聞くほど物語の王子だね…」

「そんな人本当に居るのか〜？」

『それが居るんですよねぇ』

目の前に座るリクスも中々王子のようなビジュアルをしているが、リクスとはまた違ったミステリアスさを持つヒョンジンさんに、私は惹かれていた。

ストローを軽く吸いラテを飲もうとした。が、ストローはズズッと音を立て、飲み物が無くなったことを知らせた。さっきまでの質問で無意識に飲み過ぎていたようだ。

「Aはそのヒョンジンさんと付き合いたいって思ってるの？」

『んー…分かんない』

ヒョンジンさんに惹かれているのは事実。だけど、付き合いたい、どういう事をしたい、っていうのは自分でも分からない。彼は私にとってどういう存在なのだろうか。

「まぁ、もう少し一緒に過ごしてみると何か分かるかも」

「リクスの言うとおり！どこか一緒に行く予定立てたら？次は2人きりで行ってみてもいいし」

確かに昨日は、デートの雰囲気は若干薄れていた気がする。あんなこともされたけど(クリーム事件)。

どこへ誘おうかと考えたとき、ある一枚のチラシを思い出した。確かまだバッグに入っていたはず。
バッグを探り、目当てのチラシを取り出した。

「そのチラシ何？」

『前にもらった絵画展のチラシです』

「あー、ヒョンジンさんが画家だからか」

「まだやってる？」

日付を見ると、あと1週間で終わってしまうようだった。これは誘うしかない。

「次のデート、決まったみたいだね」

「頑張れよ〜A。進歩あったら教えろよ〜！」

リクスは優しく微笑んで、ビニ先輩は豪快に笑った。持つべきものは頼もしい仲間だと改めて感じた。