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nineteen ページ21

上杉 で、興味深い発見ってなんだよ。
貴方 一つはあの死体が行方不明になっていた名波の父親だってこと。来ていたスーツのポケットの刺繍が有った。
小塚 二つ目。白骨死体が来ていたスーツは普通の通勤着や作業着じゃなく、フォーマルなもので、ポケットには卒業式の保護者招待パンフが入っていたこと。
貴方 3つ目は、これ。白骨の中央部、つまり背骨のあたりに落ちていた。死ぬ直前に中身を守るために飲み込んだんだと思う。
黒木 貸して。

  これ、名波の父親からのメッセージだ。
『私が浜岡建設の作業所長に就任した時、会社にはすでに裏帳簿があり、裏在庫があった。証拠として正規の帳簿とともに、ここに添付する。』

彩 ??
黒木 この帳簿を見ると、建築資材200トンを買ってるだろ。で、工事でこれを全部使ったことになっている。倉庫には、何も残っていないはずだ。ところが同じ時期の裏帳簿に、建築資材100トンが載っている。これはつまり、、、
貴方 使い切ったはずの建築資材は、実際は100トンしか使わなかった。そして、倉庫には100トンが余っている。実際には存在しないはずのものが倉庫にあるから、これを裏在庫と言い、それを管理する裏帳簿も作られたってこと。
彩 そんな面倒なことしなくても、200トン買って100トンしか使わなかったって書けばいいだけじゃないの。
貴方 え?馬鹿なの?私腹を肥やすために決まってんじゃん。
黒木 200トン買って200トン使ったと書けば、帳簿上の在庫はゼロになる。だが実際は100トンが存在している。となると、その100トンは現場所長の判断でどうとでも出来る。
貴方 よくあるのは所長が密かに売って、収入をポケットに入れること。それから、余った100トンを次の工事に回して次の工事の実費を減らし、正規の工事料金をとって、その差額をポケットに入れること。

『悪習に従い、言われるままに、私も裏帳簿や裏在庫を引き継ぎ、次第に罪悪感も薄れ、その社風に馴染んで正常な感覚を失った。社内では、架空発注を手掛けてその金を懐に流し込んでいる人間も少なくない。それを見ていると、つい自分も、という気になり、上司の上田さんに誘われるままに、一緒に会社の金を横領した。』

貴方 上田泰助、役職は常務。組織図によると、工事現場の最高責任者で、現場所長の名波直属の上司ね。

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作者名:CAORU x他1人 | 作成日時:2020年8月17日 15時

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