幸せを知らない少女 (ページ29)

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八百万目線

寮になってから約3週間

みんな寮生活に慣れたみたいだった

騒音にも結構慣れたけど

たまに聞こえるあの声

あれには慣れない

誰の声？

聞いたことがないようなうめき声

うなされているのか

生徒であることは間違いない

先生達も気づいているのでは？

でも誰も何も言わない

なんで？

怖いけど1度だけ見に行ってみようと思う

次聞こえたら声の方へ

今日もあるかなとベットに入る

「うﾞぁﾞぁﾞぁﾞぁﾞ！！！！！」

来た！

上から聞こえている上は最上階

階段を駆け上がる

薄暗い廊下でうっすら聞こえる

泣き声

話し声？

「……さい」

「……………なさい」

「…め………」

「ごめんなさい？」

確かにそう聞こえる

1番奥の部屋だ

時矢さん？

コンコン

「時矢さん？入りますよ？」

そこにはその場に座り込み泣きながらごめんなさいと呟いている彼女がいた

「どうしたんですの？」

「彩夏ごめんなさい」

先生を呼んだ方がいいと判断した私は

直ぐに相澤先生を呼んできた

「おい時矢どうした？」

「何を見た？」

「助けてという声を無視した彩夏がなんで助けてくれないの？って」

「あいつは死んだぞ？」

「ヒーローじゃないって」

「おい一旦落ち着け」

深く息を吸って

我に帰った時矢さん

「なんですか？」

一言目がそれだった

記憶が無いのか

相澤先生は精神状態が不安定になっているんだと言っていたが

彼女は何か色々なものを抱えている気がする

何かすごく重い何かを

何かを探している