５１話：小学生時代㊽「お礼」 ページ5
お土産を選び終えた後、加藤君と別れるまでは一緒に下校している。
今日一日でかなり親しくなった相手だが、自分が思っていたより優しい人だった。
理科の教科書も気付いて届けてくれようとしたし、忘れていたことも先生に言っていない。
体育の時はチームを組んでくれて「一緒なら勝てる。」と言ってくれた。
あと逃げるのに必死でこけそうになった時も助けてくれたな。
それから……。
あれ、とここで重要なことを思い出す。
私はここまでしてくれた加藤君にお礼を言ったのだろうか。
サァーと血の気が引いていく。
『加藤君！』
「うわ、ビックリした！？」
『ご、ごめん！』
いや、違う。驚かせようとしたのでもなく謝罪したいのでもないのに。
いや、謝罪は大事、大事だけど
自問自答でワタワタと一人慌て始める。
そんな自分を見て加藤君は「落ち着け。」と言った後おでこにデコピンをしてきた。
体育の時にもされたが、これが中々痛いのである。
おでこを抑えてその場でうずくまり、下から加藤君を見上げる。
『いたぃ。』
「お前が悪い。」
『それはそうだけど……。』
デコピンをしなくてもいいじゃないかと目で訴えるが伝わることはない。
おでこを擦りながら立ち上がり、加藤君と向き合う。こういった事がしたいわけではない。
痛みが引くまで待ったあと、加藤君に先ほど気が付いた本題を口にした。
『加藤君、遅くなったんだけど今日沢山助けられたんだ。
本当にありがとう。』
私の言葉に首をかしげる加藤君。
顎に手を当てて何をしたのか考えたあと、何かを思い出した顔をする。
「別にィー、俺が勝手にやったことだし。
けど病院行くことで渡すのが遅れたのはごめん。」
『そんな！元は忘れてた私が悪いんだし。』
「それもそうだな。」
少し悪そうな顔をして返事をするが、嫌とは思わなかった。
教科書以外でも助けてくれたからだろう。お礼を口に出しても自分の中でわだかまりが残る。
言葉だけでは言い切れないほどの感謝はどうすれば伝わるだろうか。
けれど言いすぎてもウザがられるだろうし、どうしたら……。
何かお礼の品を渡す？けど、それでも私にお金なんてないし……。
『あ！』
「！？」
その場で立ち止まり、思い出した時の声が思ってたより大きく出た。
隣の加藤君がビクリッと肩を動かしたのが視界の端で見えた。ごめんよ。
５２話：小学生時代㊾「形のある気持ち」→←５０話：小学生時代㊼「決めたものは」
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ビーZ(プロフ) - なめこさん» コメントありがとうございます！本編へのつなげ方は２パターンを考えているので、私自身も書き込みながらその時の状況に応じて決めた行きたいと思います。 (5月4日 3時) (
レス) id: 2d2fb7c60c (このIDを非表示/違反報告)
なめこ - どう本編につながるのか楽しみにしてます (5月2日 22時) (レス) @page22 id: 04a092aa65 (このIDを非表示/違反報告)
ビーZ(プロフ) - あ。さん» 気付きをくれたありがたいコメントです。 (5月1日 20時) (レス) id: 2d2fb7c60c (このIDを非表示/違反報告)
ビーZ(プロフ) - あ。さん» コメントありがとうございます。言われて「確かに…！！」となりました。言葉では出てきていてもキャラや時間軸も不明なまま進めているので、ヒロアカの設定だけ小説になってました。早めにキャラ絡みや時間軸を明確にするようにします。 (5月1日 20時) (レス) id: 2d2fb7c60c (このIDを非表示/違反報告)
あ。 - これはヒロアカではない。 (5月1日 7時) (レス) @page22 id: 686a7a1374 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：B太 | 作成日時：2024年1月5日 15時
