住の江の【相澤消太】 ページ9
「先生、私の今日の授業なんですけど」
「悪い。会議がある」
いつもそうだ。
先生兼私の恋人は私を学校でよく避ける。
相澤先生は、合理的だからって分かってる。
分かってるけど。
好きな人に避けられるというのは、精神的にくるものがある。
溜息を零した。
.
「相澤せーんせ」
「どうした、A」
彼の部屋の中、強請るように袖引き目を閉じれば甘いキスが降ってくる。
2人っきりは蕩けるほど甘いのに。
「先生、昼間冷たすぎじゃないです？」
「そうか？」
「冷たすぎて逆に怪しまれそうですよ」
「子供はそろそろ寝る時間だ」
分かりやすいくらいにはぐらされて、私は肩を落とした。
どうして分かってくれないんだろう。
最後に身体を寄せて、手を彼の膝に乗せて精一杯の色気を出す。
でも、
「今日は仕事が残ってるから」
あやすように頬を撫でられ、ベットへ追いやられた。
まぁ何やら書類とパソコンを見ていたから、そうなるとは思ってたけど。
少し気分を落としながら、ベットの中へ潜った。
.
不思議と夢だって分かってた。
何時もの学校、先生、景色。
そこをぼんやり歩いていた。
そうしたら、相澤先生が目に入った。
どうせ夢だからいいと思った。
大勢の生徒や先生がいる中で、彼に抱きついた。
否、抱きつこうとした。
彼は眉間に皺を寄せて、鬱陶しそうに私を避けた。
胸が激しく痛みだす。
夢の中ですら、貴方は人目を避けるのね。
私のこと、本当はどう思ってるの？
.
目を開けると、視界に見慣れた天井と先生の心配そうな顔が広がっていた。
「…魘されてたぞ」
私の涙を彼は手の甲で拭う。
……優しい。
「せんせ」
そっと彼を引き寄せキスをする。
「…私のこと好き？」
「好きじゃない奴と恋人になるほど非合理的なことはない。」
"どんな夢を見た？"
なんて言っていいか分からなくて、目を伏せる。
伏せた拍子に涙が一粒溢れた。
「…先生？」
「気が変わった。急ぎの仕事じゃないしな」
毛布と私の間に、足を入れて入ってくる。
正直、もうそういう気分じゃなかったけど、愛が欲しくて黙り込んだ。
先生、せめて夜くらいはさ、身体を寄せ合いたいの。
.
住の江の 岸に寄る波 よるさへや
夢の通い路 人目よくらむ
(住の江の岸に寄る波、夜。
人目のある昼間はともかく、何故貴方は、夜の夢の中でさえ人目をさけるのでしょうか)
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鬱ネコ(プロフ) - 璃月さん» コメントありがとうございます！リクエスト、続編の方で死柄木さんで書かせていただきました。ご不満がありましたら書き直しますのでお申し付け下さい。ありがとうございました！ (2018年12月14日 22時) (
レス) id: 61ffaa13af (このIDを非表示/違反報告)
鬱ネコ(プロフ) - みすみさん» 競技かるた部なんですね！かっこいいです。ありがとうございます~！リク、遅くなりましたが書かせて頂きました。続編の方なので良ければ観覧お願いします。コメントありがとうございました (2018年11月26日 23時) (レス) id: 61ffaa13af (このIDを非表示/違反報告)
鬱ネコ(プロフ) - Runaさん» ありがとうございます！切ない話を書きたい、って常日頃思っているので、そう言って貰えると嬉しいです。好きだなんて光栄です。続編でもよろしくお願いします！ (2018年11月9日 23時) (レス) id: 61ffaa13af (このIDを非表示/違反報告)
Runa - トガちゃんの話好きだななぁ･･･ちょっと残酷だけど、何かトガちゃんの報われない想いとか、切なくて結構好き。続編でも頑張って下さい。 (2018年11月9日 20時) (レス) id: 3e6d8cfb03 (このIDを非表示/違反報告)
鬱ネコ(プロフ) - ミリイ(灰崎信者)さん» ステイン様続編の方で書かせていただきました！遅くなり申し訳ありません。ご不満がありましたら、書き直しを仰ってください！ (2018年11月8日 19時) (レス) id: 61ffaa13af (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：鬱ネコ | 作成日時：2018年5月26日 14時
