忘れじの【常闇踏陰】 ページ15
「ありがとう、俺もお前を愛している」
そう照れて微笑む彼。
告白の返事に、その表情に愛しさが込み上げる。
「一緒に帰ろう」
「うん。」
薄れてくまるで嘘に思える、奇跡のような何気ない台詞。
そんな言葉が嬉しいって心臓はこんなに煩く喚く。
ぎこちなく話をしながら、帰路に着いた。
この空気だって記憶して置ければいいのに。
そう痛いほど願うのに。
今ここにあるその台詞も、この温度も、綺麗な夕日も、
全てを覚えてることなんて出来ないんだなぁ。
「忘れたくないね」
「…どうした？」
無意識に、言葉が出ていたようだ。
貴方のその声も表情も、きっと、忘れちゃうのかな。
「幸せなのに。この日がきっと1番なのに。
……いつか忘れちゃうのかな」
「俺は忘れない」
彼の目を見ると綺麗に燃えてた。
…。
全てを覚えてるなんて。
彼の格好つけた言動も知って私は恋に落ちたけど。告白したけど。
いい加減な言葉を囁けるほど、私は貴方にとって小さい存在？
「鳥頭なのに？」
「確かにそうだな」
いくら貴方でも無理だよ。
そんな優しい嘘聞きたくなかった。
彼は私の皮肉な言葉に笑ってくれて。
素顔を見れたようで嬉しいなんて。馬鹿みたい。
「じゃあ、」
彼は少し考え、何かを思い出したように、私と目を合わせた。
「毎日今日を、1番幸福な日にしないか。」
……。
意味が分からず、首を反射的に傾げる。
そんな私に呆れもせず、彼は言葉を続けた。
「毎日幸せを新たに更新すれば、1番幸せな今日を忘れないだろう？」
毎日、幸せを？
「気に入らなかったか？」
「ううん、…最っ高！」
それじゃあ毎日、一緒にいてくれる？
貴方との日々が増えてくだけで、きっと私は幸せだ。
「明日から楽しみだな。」
「うん！」
きっと今日からの日々は幸せに満ちてる。
………でも、その言葉が永遠に有効かは分からないから。
その言葉を聞けた今日、
_______死んでしまえたら良いのに。
.
忘れじの 行く末までは かたければ
今日をかぎりの 命ともがな
(あなたの言う「忘れない。」は、いつまでも変わらないなんて思えないから。
だからその言葉を聞けた今日、死んでしまえればいい)
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鬱ネコ(プロフ) - 璃月さん» コメントありがとうございます！リクエスト、続編の方で死柄木さんで書かせていただきました。ご不満がありましたら書き直しますのでお申し付け下さい。ありがとうございました！ (2018年12月14日 22時) (
レス) id: 61ffaa13af (このIDを非表示/違反報告)
鬱ネコ(プロフ) - みすみさん» 競技かるた部なんですね！かっこいいです。ありがとうございます~！リク、遅くなりましたが書かせて頂きました。続編の方なので良ければ観覧お願いします。コメントありがとうございました (2018年11月26日 23時) (レス) id: 61ffaa13af (このIDを非表示/違反報告)
鬱ネコ(プロフ) - Runaさん» ありがとうございます！切ない話を書きたい、って常日頃思っているので、そう言って貰えると嬉しいです。好きだなんて光栄です。続編でもよろしくお願いします！ (2018年11月9日 23時) (レス) id: 61ffaa13af (このIDを非表示/違反報告)
Runa - トガちゃんの話好きだななぁ･･･ちょっと残酷だけど、何かトガちゃんの報われない想いとか、切なくて結構好き。続編でも頑張って下さい。 (2018年11月9日 20時) (レス) id: 3e6d8cfb03 (このIDを非表示/違反報告)
鬱ネコ(プロフ) - ミリイ(灰崎信者)さん» ステイン様続編の方で書かせていただきました！遅くなり申し訳ありません。ご不満がありましたら、書き直しを仰ってください！ (2018年11月8日 19時) (レス) id: 61ffaa13af (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：鬱ネコ | 作成日時：2018年5月26日 14時
