はじめの第一歩 ページ1
ここはとある日の轟家
珍しく家族が勢揃いしている中、居間の中心にはちゃぶ台を挟んでNo.1ヒーローである轟炎司と、カッチリスーツ姿のNo.2ヒーロー・鷹見啓悟が神妙な面持ちで向かい合っていた
「…」
「…」
二人が沈黙を紡ぐ中、居間の横にあるダイニングではAを含む轟家の家族が揃っており、その様子を伺っていた
数分間その状態が続いたが、恐怖の沈黙を断ち切るかの様に先に動いたのは啓悟の方だった
「エンデヴァーさん…いや、炎司さん……いや…」
スっと正座のままわずかに後ろに下がり、両手を膝の前の床に付ける
そして…
「お父さん！！娘さんを僕に下さい！！！」
「貴様にお父さんと呼ばれる筋合いはない！！！」
「茶番か」
勢いよく床に頭をつけ、所謂土下座で炎司に今世紀最大の申し出をしたが、まるでテンプレのやり取りにAが思わずツッコミを入れてしまう
「なんでですか〜！！お父さん〜！！娘さんとお孫さんを下さい〜〜！！！」
「お父さんと呼ぶな！気色悪い！！しかもなんだその格好は、慣れもせんスーツなんぞ着込んで来よって！！！」
「ひど！これ俺の一張羅ですよ！初めて買ったオーダーメイドの！お気に入りなんです！！」
「前にホテルで着ていたあれはなんだ！？」
「あれは二軍！！特になんでもないそこら辺のスーツですよ！！あんなんでここに来れるわけないでしょ！！」
ハァ、ハァ、と肩で息をする二人にAは呆れる
「ねぇママ、おじーちゃんはパパのことがきらいなの？」
「うーん、嫌いってわけじゃないんだけど…ねぇ？」
「優悟ー、優悟は夏くんとお庭で遊んでようなー」
優悟の教育に悪いと思ったのか、はたまた面倒になったのか、夏雄が優悟を連れてダイニングを後にした事によりここにはAと冷、冬美と焦凍が残る形となった
また何やら言い合いを始めた二人を放ってAは冬美の入れたお茶に手を付ける
「まったく、いい大人がなにやってんだか」
「お父さんも本気で嫌がってるわけじゃないんだろうけどね、相手が相手なだけにそう簡単に素直になれないというか…」
「要は大人気ねぇんだろ」
「やっと口を開いたかと思えば棘ェ」
「俺はA姉さんが話があるって言うから来ただけで、親父達のアレを見に来たわけじゃねぇ」
「そうだよねぇ」
「…はぁ、止めてくる」
頭を掻きながら居間に出陣した焦凍の背中を見ながらAは些細な幸せを噛み締めていた
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真白 - 微笑ましい(笑) (2022年12月31日 12時) (
レス) @page5 id: 1bd364c53c (このIDを非表示/違反報告)
レーズン(プロフ) - コメント失礼します！轟炎司さんの設定面白すぎるしめちゃくちゃ想像ついて「ふふっ（微笑ましい笑顔）」てなりました！お気に入り登録もバッチリです！お身体には気を付けて、これからも更新楽しみに待ってます！ (2020年8月9日 8時) (レス) id: ec6c9ca54e (このIDを非表示/違反報告)
砂時計(プロフ) - コメント失礼します。短編集もすぐにお気に入りしました。やっと手に入れた幸せの続きが読める事が楽しみで仕方がありません。これからもご無理のない程に更新の方、頑張ってください<(_ _)> (2020年8月8日 12時) (レス) id: 47df7c7bae (このIDを非表示/違反報告)
夜舞希色(プロフ) - こちらの作品もお気に入りにさせていただきました！リコリス大好きです、続き待ってます(*´▽｀) (2020年8月7日 9時) (レス) id: 619087ccaf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：とらお | 作成日時：2020年8月7日 9時
