��ほんもの�� ページ47
視界に入った光に目を細めると、右の手が冷たく、だけど温かいもので包まれている事に気が付く
「…ま、ま」
「！A！あなた、Aが目を…っ」
「A！」
私の手を握ってくれていたのはやっぱりママで、少し離れた所に座っていたパパに声を掛けると、ガタンっと音を立てて立ち上がった
「私、看護師さん呼んできますね」と病室を後にしたママを見送って、ゆっくり起き上がろうとするとパパが手伝ってくれる
「痛い所はないか」
「うん、大丈夫」
「そうか」
訪れる沈黙
だけどそれは嫌なものではなくて、パパが心底心配してくれているのが伝わる
「パパ、ごめん」
「お前が謝ることではない、皆理解している」
「違うの、パパに言いたい事があるの」
あの輝く炎を見た時から、私はずっとパパに言いたかったんだ
「パパ、ありがとう、また私を救ってくれて、私をまた人に連れ戻してくれて」
「…A」
「私、パパに育ててもらえて、パパに俺の娘って言って貰えて、立派なヒーローだって言って貰えて凄く嬉しかった」
「だから、ありがとう」と笑って伝えると、パパは私を引き寄せ抱き締めてくれた
「当たり前だろう、お前は俺の…俺たちの家族だ、俺が言えた義理では無いがな」
「そんな事ないよ、皆パパが不器用な事なんてとっくに気が付いてるんだから」
「ム、そうか、なら不器用ついでにお前に話がある」
「話？」
パパは私を離すと、真剣な顔でこちらを見つめる
「A、正式に俺の娘になれ」
パパはまだ、覚えていてくれたんだ
あの時の約束
あの時、私が養子になる事を断った時に付けられた条件
「ならば、こうしよう」
「？」
「お前の言う、俺にとって不利益な事が払拭され、お前が世間から見ても俺の娘としてなんの遜色のない人間になれたと判断した時、正式に養子に入ればいい」
なんて人だと思った
いつになるかも分からない、それまでずっと戸籍上は他人だと言うのに
そもそも血の繋がらない他人なのに、どうしてそこまでするのだと、心底思った
「パパ、まだ覚えてたの…」
「当たり前だ、俺は一度決めた事は必ずやり遂げる、それで？お前は俺を正式に優悟の祖父にしてはくれないのか？」
先程と打って変わって、挑発するかの様にニヤリと笑ってこちらを見てくるパパに零れそうになる涙を拭う
私たちはやっと、��ほんもの��の家族になる
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 602人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ヒロアカ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
砂時計(プロフ) - コメント失礼します。この度は完結おめでとうございます！！！作成された当初から雰囲気が好みでずっと読んでおりました！！家族の愛がここまで素敵なものなんだと見せて下さりありがとうございますっ。短編集も楽しみにしております。お体にはお気をつけください！！ (2020年8月6日 20時) (
レス) id: 47df7c7bae (このIDを非表示/違反報告)
珠菜(プロフ) - 完結おめでとうございます！この小説大好きだったので寂しいです…せっかくなので短編集のリクエストをさせてください。前に行った遊園地のお話を家族3人でリベンジして欲しいです！家族のほのぼのみたいな…どうか体調に気をつけて、頑張ってください！応援してます！ (2020年8月6日 19時) (レス) id: 93515d92f9 (このIDを非表示/違反報告)
とらお(プロフ) - すみた先生さん» お返事がかなり遅れてしまいましたが、無事完結することが出来ました！温かいお言葉が大変励みになりました！良ければまた覗きに来て下さい(^ ^)本当にありがとうございました！ (2020年8月6日 17時) (レス) id: 77383ca370 (このIDを非表示/違反報告)
とらお(プロフ) - もちさん» お返事がかなり遅れましたが、無事完結することが出来ました。本当に温かいお言葉が励みになりました。本当にありがとうございます！ (2020年8月6日 17時) (レス) id: 77383ca370 (このIDを非表示/違反報告)
とらお(プロフ) - 青春を返せさん» お返事がかなり遅れましたが、無事完結することが出来ました(T_T)温かいお言葉をかけて下さって本当にありがとうございました！！ (2020年8月6日 17時) (レス) id: 77383ca370 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：とらお | 作成日時：2020年2月17日 21時
