■08：屋上にて ページ8
◆
病院の屋上の柵に両手をかけて、夜景を眺める。だんだん普段の思考に戻り始めてきた。それと共に理不尽な現実に対する怒りが湧き始めた。
少なからず、両親の行動にも「どうしてそんな無茶なことをしたんだ！！」と言いたかったが、それ以上に「どうしてヒーローは両親を守ってくれなかったのか」という思いが強かった。
ヒーローだって人間だ、できないことの一つや二つはある。けど、ピンチから人を助け出すのがヒーローなんだろうと、だからボクたちは尊敬し、応援した。
ボクがなろうとしていたのは、こんなヒーローじゃない。
両親がいなくなった今、ボクはこの先どうすればいいんだと疑問が浮かんだ。
夢も希望も一瞬のうちに壊れて、消えた。
生きる意味も失ったような気がして、屋上の柵を越えて、柵を背に足元を見る。少しでも足を踏み外せば、ここは高い。確実に死ねるだろうと思った。
今ここで誰が死んでもボクを責めたりはしないだろう。両親は死んだ。ボクの中で憧れだったヒーローも儚く死んだ。
大きく風が吹いて、バランスを崩した体は重力によって落ちていく。死ぬんだ。そう思った瞬間、ボヨンと見えない膜によって空中で体が受け止められた。傍から見れば、ボクは空中で寝そべっているように見えるだろう。
情けない。
個性で階段を作り仕方なく、さっきまでいた屋上に戻る。ちゃんと顔見てから帰ろうと建物に入る扉に近づいた時、そこに人がいることに気がついた。服装からして、患者ではなく見舞いに来た人なんだろう。無視してそのまま行こうとすると急にしゃべり始めた。
「君の両親を殺したやつら、今廃ビルで酒飲んで騒いでるよ」
足がピタリと止まった。
「〇◆〓ビル」
「ボクにそんなこと教えて何が目的なんですか。あなたは一体」
振り返るとそこには誰もいなかった。
何の信ぴょう性のない情報にボクは動かされた。
ビルは調べればすぐに場所がわかった。急いで向かうと、廃ビルのある階だけに明かりがついていた。敵たちだと確信した。その場で警察に連絡するのが普通なんだろうが、そんなことを考える余裕がボクにはなかった。
これは復讐だ。
何の武器も持たず、身一つでその場に乗り込んだ。
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紙袋(プロフ) - 三毛猫どんぶり。さん» コメントありがとうございます！更新再開させました。私もヴィラン側が好きなのでこの先の展開で絡めせることが出来たらと思っています。続きを楽しみに待っていただけると嬉しいです。 (2017年11月21日 17時) (
レス) id: 4f04e9ed92 (このIDを非表示/違反報告)
紙袋(プロフ) - ロゼさん» コメントありがとうございます！更新は遅くなってしまいますが、頑張らせていただきます。 (2017年11月21日 17時) (レス) id: 4f04e9ed92 (このIDを非表示/違反報告)
紙袋(プロフ) - ユキさん» コメントありがとうございます！これからも頑張らせていただきます。 (2017年11月21日 17時) (レス) id: 4f04e9ed92 (このIDを非表示/違反報告)
三毛猫どんぶり。 - 良いところで終わってる！更新停止にしないでくださいぃぃぃぃ！！この話面白いのでもっと続きみたいです！特にヴィランとの絡みがみたいです！お願いしますぅぅぅ！ (2017年8月17日 22時) (レス) id: 4b36e90e0a (このIDを非表示/違反報告)
ロゼ(プロフ) - めっちゃ面白かったです。更新頑張って下さいm(_ _)m (2017年2月28日 3時) (レス) id: 5d79736247 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：紙袋 | 作成日時：2016年8月11日 11時
