【MHA】愚を守る【男主】 (ページ44)

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「守木、アタシ…やっぱ負けたくない。」

隣を歩く足音が止む。
俺も立ち止まって振り返ると、真剣な顔をした芦戸チャンがいた。

「だからって手加減なんてしないでね。

どっちが勝っても恨みっこナシ！！本気で戦おう！」

「立ち止まっちゃってごめん！」と言って再び歩き出す芦戸チャンの腕を掴んで引き止める。

『……俺も、ここで負けるわけにはいかないから…勝ち進まなくちゃいけないんだ…だから、悔いのない戦いをしよう…！』

ニィ、と笑うと芦戸チャンは「モチロン！！」と言った。

感化されたのかもしれない。
敵に対して「一緒に頑張ろう」なんて言うのはお人好しだけだ。

より多くのプロに目をつけられて、早くサイドキックにしてもらって、早く……早くヒーローにならなくちゃいけないんだ。

こんなところで立ち止まってる暇ないんだ。

「そのイケメンスマイルで会場の女子の視線は独り占めか〜！？

ヒーロー科、守木A！！！」

『あはは、恥ずかしい紹介されちゃった〜！』

「VS！あのツノからなんか出んの！？ねぇ出んの！？

ヒーロー科、芦戸三奈！！！」

「ふふん、リベンジマッチだよ！！」

「スタート」の合図が出るが、出方を伺ってお互い動き出さない。

『…来ないの？来ないんだったら力づくで出しちゃうよ〜？』

ゆっくりと近寄ると、酸を出して「来ないで」とでも言うように攻撃をしてくる。
個性を発動して、俺にかからないようにバリアを張る。

時間制限があった戦闘訓練とは違う。

守備に特化した俺の個性は、攻撃力がない。
酸の個性は、俺に勝てはしないものの、攻撃力がある。

この試合は、鬼ごっこになりそうだな。