【MHA】愚を守る【男主】 (ページ42)

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『わ～緑谷クン頑張って～かっこいいところ見せて～！』

観客から応援するが、多分聞こえてないだろう。
緑谷クンと心操クンが向き合ってるのを見て、どっちが勝つかと考える。

心操クンの個性が発動してしまえば、緑谷クンに勝ち目はほぼないだろう。
ただ、尾白クンが緑谷クンに助言でもしていれば…緑谷クンに勝ち目がある。

緑谷クンは個性が体にあっていないものの、体づくりはしっかりしている。
きっとたくさん努力したんだろう。
彼はそういう人だ。

それに対して心操クンは個性に頼りがち。
体術なんかもからっきしだろう。

個性をなるべく使わずに勝ちたい緑谷クンと、個性を駆使して勝とうとする心操クン。

「守木、騎馬戦であの普通科の子と組んでたよね？」

「緑谷クンを応援してていいのー？」と言われて考える。
うーん、彼はどうもいけ好かない。

『んー、心操クンと俺って友達になれてるのかなぁ…？

まぁどうせここから叫んでも聞こえないっしょ！！』

にぱ、と笑って試合の行方を見守る。

なんて言ってるのかはわからないけど、心操クンの口が動いているのが見える。
…早速仕掛けに行ったな。
緑谷クンの顔つきが変わる。怒っている顔。

…うーん、ヒーロー科の悪口。あるいは……棄権した尾白クンのことか。

緑谷クンは自分のことを悪く言われて怒るような人じゃない。
他人のことで怒っちゃうようなお人好しだ。

口の動きからして恐らく「なんてこと言うんだ！」と怒鳴りながら動き出した。

『これは…終わりかなぁ。』

オールマイトのような個性の緑谷クン。
もう少し面白い試合を見せてくれるかと期待してたが、期待外れだったみたいだ。

停止からの場外に歩き出す緑谷クンを見て困惑した声が上がる。

あと一歩。

これで心操クンの勝ちが決まる。
皆が諦めたときだ。

緑谷クンの個性が緑谷クンの洗脳を解いた。
歓声が上がるが、緑谷クンの二本の指が赤紫に腫れ上がっているのが苦肉の策だと物語っていた。

心操クンは焦ったように緑谷クンに問いかけるが、もう個性には引っかからない。
…一気に状況は変わった。

緑谷クンに押し出されそうになって抵抗するが、背負い投げされて心操クンは場外に。

『……緑谷クン、爆豪クンのファンか何かなの？』

そう笑って爆豪クン言うと「きめぇ』と一言返された。
だって、爆豪クンの戦闘を研究しましたと言わんばかりの動きだ。

緑谷クンの方が一枚上手だったってことだろう。