【MHA】愚を守る【男主】 (ページ30)

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『……あっちゃ～これは活躍できそうにないなぁ…？』

底の見えない崖で顔を青くさせる。
笑顔が引きつっている自覚もある。

…俺は高いところが苦手だ。

「守木くん！どしたん！？早く行かないと…」

俺がなかなか動き出さないのを見て麗日チャンが声をかけてくる。
…随分と抜かされてしまったな。
サポート科の女子生徒が飛んで行ったのを見て「すごい」と純粋に思う。

『あはは、実は高所恐怖症でね…俺の体育祭はここまでかな～』

そう言って笑うと「守木くんの弱点！」とびっくりされる。
「俺は弱いからね、弱点なんていっぱいあるよ」と返しておく。

…それにしても困ったな。

「じゃあ私が浮かしてあげるよ！！高いから目瞑ってて！！」

「え、」と声を漏らす。
有無を言わさず肩に触れられて、簡単に浮かんでしまう。

『……一応、敵なんだけど…敵に塩を送るようなマネ、いいの？』

「いいの！まだちょっとしか経っとらんけど、一緒に過ごした仲間やし！」

目を瞑っているからわからないけど、麗日チャンはきっと笑顔なんだろう。
俺は麗日チャンに浮かされて、第二関門を突破した。

…個性、使いすぎると吐き気を催すんだろ。

体育祭で結果を出したい、って意気込んでたのに。

「はい、到着！！お互い頑張ろうね！」

最終関門の地雷ゾーンを目の前にして進もうとする彼女の腕を掴んで阻止する。

『………麗日チャン、おんぶしてあげる。

…今は、３０位くらいか………そうだな、２０位以内には入り込めるよ。』

勝手に話を進めようとすると「待って待って！？ウチは大丈夫だから、」と拒否される。

『あぁ。お姫様抱っこだよかった～？それならそうと言ってよ～

…おんぶとお姫様抱っこ、どっちがいーい？』

「さーん、にーい、」とカウントダウンを始めると「おおおおんぶ！！」と焦って答えてくれた。

『おーけー、じゃあ…はい、どうぞ！』

しゃがんで待ってると、「せめて少しでも軽くするね！」と自身に個性を使おうとするので止める。

『大丈夫、これでも俺…一応男の子だし。

それに、君が俺の為に自分の身を削ってまで助けてくれたから…そのお礼。
俺のバリアはオールマイト級の力でもなければ破れたりしないよ。

安心して。』

そう言って笑う。
麗日チャンは顔を赤くして「…う、じゃあ…お願いします…」と恐る恐る俺に乗ってきた。