【MHA】愚を守る【男主】 (ページ20)

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「さっきのは俺がサポートに入らなかったらやばかったでしょう」

轟クンがそう言うも「プロの本気を見ていなさい」と言われてしまう。
俺ら子供に何かできることはないということだろうか。

「オールマイト、血が…！それに時間だって、」

緑谷クンも心配そうにオールマイトを見る。
俺から見てもオールマイトはしんどそうな顔をしている。

「平和の象徴」ってのは、誰かを頼れない立場なのだろうか。
血が出て、苦しくても「平和の象徴だから」と言われてしまう。

オールマイトは脳無と真っ正面から殴り合いを始める。
ショック吸収の個性相手に無謀な、と思うが「１００%を耐えるなら更に上からねじ伏せる」という脳筋のような考えで一発一発に力を込めて殴るオールマイト。

「ヒーローとは、常にピンチをぶち壊していくもの！」

常にピンチを、ね。

「敵よ、こんな言葉を知っているか。

更に向こうへ、Plus Ultra！！」

そう言って脳無をぶっ飛ばすオールマイト。
あんなに「オールマイトでもやばいかもしれない」と皆が思っていた脳無を。
破片が飛んでくるのを個性でガードする。

「コミックかよ…ショック吸収をないことにしちまった…」

プロ、それもトップヒーローの活躍を目の前にして、皆うまく言葉が出てこない。
それは俺もで。

もっとヘラヘラ笑って「すごいね～」なんて言えればいいのだが、頰がヒク…と動くだけでうまく笑えそうにない。

「やはり衰えた。全盛期なら５発も打てば十分だったのに。

３００発以上も打ってしまった。」

そう言ったオールマイトの顔はいつも通り笑顔だった。
「チートが…！」と悔しそうにする手の敵を観察する。

オールマイトが威圧的な態度で「クリアとかなんとか言ってたが…できるものならしてみろよ」と言うと「ぁあ、あ…」と狼狽えている。

「脳無さえいれば…！」と首を掻き毟る手の敵に対して靄の敵が「落ち着いてください死柄木弔！」と説得している。

…俺には、死柄木と呼ばれたあの男が子供のように見えてしまう。

「黒霧、」と死柄木が合図をするとオールマイトに襲いかかる。
あの脳無を倒したオールマイトなら大丈夫だろうとその場から離れようとした時、緑谷クンが飛び出して行った。

まるでオールマイトのように速く、「オールマイトから離れろ…！」と言いながら。

緑谷クンの目には、そんなにオールマイトがピンチに見えたということか…？