泳げない深海魚は ページ44
はやく、はやく、はやく…
あぁ、相澤さんを避難させないと、相澤さんに治癒魔法かけねぇと、腕も治して、傷だらけになっちゃった顔も治して、水出して飲ませてやって…
それで、それ、で…そ…で……それ、で？？
俺は、思考が得意じゃない。
特に感情任せになる様な事や反射神経に頼れない時は怖いほど全てが見えなくなる
浮かんでは消えて、また浮かんでとグルグル回ってしまう。頭で考える前に、うわ言のようにすぐ口に出してしまうから余計にまとまらなくて
いつだって答えは見付からなくて…
答えを教えてくれるセンパイ達が、居ない
俺に指示が飛んでこない、俺は何をすれば…
「あはは…とりあえず、全部やるか…？」
ダメだ、思考するのが苦しくてココが分からなくなる、いつもみたいな真っ暗な海の中みたいで……
「んの前に避難？あはは、まだ殴ってもねぇのに？」
後ろに居る相澤消太にしか、掠れたこの声は届いていないだろう。自分を助けてくれた同居人が助けてと悲鳴をあげているのに、身体が持ち上がらないことに苛立ちを覚える
何かしないと、この子は壊れてしまうとゆうのに
死「……へぇー、大好きな先生の為に自ら地獄へ来たっていうの？ヒーローだねぇ…そこのお子ちゃま達は見てるだけってのに……」
あぁダメだ、何からすればいいんだ
縋りたい、ダメだ、誰にだ？
泣きつきたい、ダメだ、誰にだ！
呼びたい、ダメだ！誰を！
誰も、いない、俺の恩人を、助けなきゃなのに
死「はははゾクってしちゃうなぁ、そんな真っ黒な目向けられると…
でも、お前も俺の本命じゃない」
“俺”を助けてくれる人がいない
あぁ、あぁ、いつもみたいに
たすけて“センパイ”っ…！
「……！！」
パシャりと、上から水が降ってきた
スプリンクラーが誤作動したのか、誰かがかけたのか、誰にも分からなかったが確かに水を被っている青年がそこに居る
水で消えたのか、足元の瘴気はもう無くなっていた
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作者名：赤月 x他1人 | 作成日時：2021年10月23日 2時
