【ヒロアカ】私の個性は、人を愛しちゃいけない。【上鳴電気】 (ページ16)

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episode15 ページ16

__ いきなりこんなこと書いて、Aは驚くかな。
もしかしたらこれを読んで、やっと俺から離れられると喜ぶかもしれない。
どっちにしろ、俺らはこれで最後だ。Aがどう思おうと関係ない。けど、少しでも寂しいって思ってくれたらいいななんて思ってる。
Aとこうしてノートでやり取りをして、色々Aのことを知れて、本当に嬉しかった。
でも、それも今日で終わりにしなければならない。
俺から誘っといてごめん。散々会いたいってわがまま言ってごめん。
あの時Aのことを助けて、Aのヒーローになれてよかった。
だけど、もう、俺らは会えない。

このノートは切島に渡しておくよ。また切島から受け取ってくれ。

・

ちゃんとした理由は書いてくれなかった。

書いておいてほしかったなんて言える立場じゃなかった。

自分も、会えない理由を彼に言ってないから。

太陽はいつの間にか沈みかけていた。

今日もまた、1日を無駄にした。

彼が私の中にいなかった約1ヶ月を埋めてくれたかのように嬉しかったはずの文が、これから先、ずっと彼に会えない寂しさへと変わっていった。

会いたいって思ってくれている彼の優しさに甘えていた。

何度も何度も同じことばかりを考える。

彼が好きだということを言えばよかったと後悔すれば、言ったら迷惑をかけてしまっていたという自分が出てくる。

じゃあ、どうすればよかったのか。

どうせこうやって向こうからのきっかけで会えなくなるなら、伝えておけばよかった。

上鳴くんが好きだって。

でも今更遅かった。

私が後悔の念を抱えて過ごしているうちに日々は流れ、気づけばヒーロー科の林間合宿の日になっていた。

そんなことに気づいたって、私には何も関係ないのだけど。

気晴らしの為にと一応付けておいたテレビから"雄英高校"と言う単語が聞こえて、ついテレビの方を見てしまう。

また、A組がヴィラン連合に襲われていた。

私の頭の中を真っ先に過ぎったのは、大切な友達2人と、もう1人。

私はいてもたってもいられなかった。

だけど、何もできなかった。

すると、部屋の中に黒いモヤがかかり、中から誰かが出てきた。

私は混乱した中、とにかく逃げようとしたが、抵抗虚しく捕まった。

あの日、ヴィランに襲われた記憶が蘇る。

何者かに拘束された私の前に、誰か来たのがわかった。

薄暗い中気味悪く笑うその少年に、私は見覚えがあった。