episode12 ページ13
てっぺんに昇った太陽が容赦なく照りつける。
本格的な夏の訪れに、街の人達はどこか気だるそうに見えた。
そんな夏真っ只中。
私の鼻に香ばしい香りが漂ってくる。
「A!!もう食べれるよー!」
「はーい!」
三奈の呼び声に、私は2人の元へ駆け寄っていった。
「お前なんであんなとこいたんだよ」
「ちょっと光合成してた」
「はあ?」
切島家の広い庭でのバーベキュー。
私は久しぶりの外と久しぶりの友達に、沈んでいた自分の気持ちが少し晴れた気がした。
私たちは炎天下の中でバーベキューを楽しんだ。
久しぶりにおなかいっぱいご飯を食べた。
日が傾いてきた頃。
バーベキューを終え、片付けも済んだあと、切島家の涼しいリビングで涼んでいた。
腹もふくれ、心地のいい環境にいると徐々に眠たくなってくる。
「あ、今から親帰ってくるって」
「マジー?あたししばらく動けないわー」
「そんなこと言われても、そろそろ帰れよ」
夕方になり、切島のお母さんが返ってくる時間となった。
私は重たい体を起こし、帰る準備を始めた。
帰ったら目一杯寝よう。
「えーA帰るの?」
「うん。本当はもうちょっとゆっくりしたいんだけど」
「じゃあまだ居ようよ!切島の部屋行けばいいじゃん」
「芦戸……お前ここ俺ん家だぞ」
私たちは__三奈のわがままで__切島の部屋に行くことになった。
「うわあ、部屋きたな」
「うるせえ。男の部屋ってのはこんなもんだよ」
そう言いながらも、切島は片付けを始める。
学校に持ってきている鞄を手にしたところ、チャックが空いていたらしく中身が落ちた。
切島はそれを慌てて集めた。
そこに、見覚えのあるノートが見えた。
「切島……」
「お、おう。なんだ?」
私がノートについて訊こうとすると、切島は酷く慌てているようだった。
その姿を見て、私は訊くのをやめた。
「これも落としたよ」
私は足元に転がってきたものを渡す。
「……ありがと」
切島は気まずそうにそれを受けとった。
バラバラになっていたパズルのピースが揃ってきた気がした。
「私、やっぱり帰るよ」
「えー?確かに切島の部屋汚くて帰りたくなる気持ちもわかるけど」
「おい、今片付けてるだろ」
帰ろうとする私を2人はとめる。
「早く帰らないとまたヴィランに襲われるのは勘弁だし」
「Aが帰るならあたしも帰ろー」
結局、私と三奈は帰ることにした。
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作者名：さくら | 作成日時：2020年5月26日 9時
