309号室のミンさん。2

◇YG ページ26

『ユンギさん』

「何ですか」

『…………また無断でゴミ捨て場に投棄したでしょ！』



思ったより早く知られてしまった。面倒だから、毎回こっそり置いてしまう。
…………なぜ、バレるんだ。普通のどこにでもあるようなモノだったのに。





「人違いですよ」

『ヤー、嘘つかないで！バスケの雑誌なんて捨てるのユンギさんくらいですよ、まったく…』




この間掃除していたら出てきた大量の雑誌。もういっか、と捨てたらなぜか怒られた。


『うちでは水曜日って決まってるんです、雑誌とか新聞とかは！』

「えー…」

『えー、じゃありません！』





彼女なりに、怒ってるつもりなのだろうが、どうもそんな風には見えない。

怒ってる姿も可愛いなぁ、なんて。




『もう、ユンギさんは常習犯ですからね。次やったら本気で片付けさせますよ』

「はいはい」

『ちょっと聞いてます？』





何でだろう、ついAさんにそっけない自分がいて。


本当はもっと優しくて、気の利く人って思われたいのに。





「Aさん、今から買い物行くんですけど食べたいお菓子とかありますか？」

『…私は食べ物で釣られませんよ、ユンギさんが思っている以上にそういうのになびきません』

「…あえて選ぶなら？」

『…………プリン、かな』




速攻で、丸め込まれてるじゃん、なんて思いながらロビーを出た。

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