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48. ページ6

「…弟、ね」

『ええ。別に、婚約をやめる理由にはならないでしょう?』






珍しいと思った。
いつもは落ち着いていて、冷静な彼女の


声が震えていた。
手も、隠しきれていない震えを伴っていた。






「…それだけ?」

『…そうですよ』

「なら、なんで泣きそうなの」

『……え?』

「ジョングクと、同じだ。



ずっと、Aちゃんもジョングクも、
心は泣いたまんまでしょう?







俺は、Aちゃんに正直に生きてほしい。
自由に、生きてほしい。




今なら、間に合うはずで、
『……ソクジンさん。

大丈夫ですから。






私は自由ですし、正直ですよ。
むしろ、早く婚約したい限りです』






それは、僕への愛情からなのか、

それとも、何かを飲み込もうとしているからなのか。






これ以上は聞けない。
聞いたところでどうすることだって、出来ない。






ごめん、ジョングク。

ごめん、Aちゃん。






僕は、

誰一人、守れない弱い存在だったみたいだ。

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作者名:つばき。 | 作成日時:2020年10月24日 11時

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