君に、願いを (ページ3)

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別れる？

どうして？

ずっと、その2単語が頭の中を駆け巡る。
俺の頭に、まるで最初からその2つしか存在しなかったみたいに。

「……………なんで…？」

今、きっと俺はとてつもなく動揺している。
カメラの前で、表情なんて作れないほどに。

『疲れちゃったんだ。

…芸能人の、彼女ってことに』

アイスコーヒーを一口飲み、
そうぽつりと呟いたA。

目線は、今日1度も合っていない。

「でも、『好きな人ができたの』

好きな、人。

俺よりも、もっと幸せにしてくれる人？

「……A、怒るよ」

『やだなぁ、事実なのに』

言葉は、どこかふわふわしている。

なのに、Aは、今にも消えてしまいそうな気がして。

「………本当は？」

絶対に、そんな理由なんかじゃない。
それは、7年以上の付き合いだからこそ、分かることだ。

そう聞いた時、わずかに瞳が揺れるのを見逃さなかった。
あぁ、何かあるんだ。

…俺を、頼れないほどの何かなんだろうな。

俺は、

…この8年、Aに頼られたことがあったっけ、なんて記憶を探っても、出てこない。

途端に不安になる。
本当に、嫌われているのだとすれば？

『…………テヒョンア』

ついに、隠していても無駄だと思ったのか、
口を開いた。

『…私ねっ…………

死ぬんだっ』