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『……………連絡先、ですか?』
「うん。ダメ、かなぁ?」
………………こてんっと効果音がつきそうな首の使い方。
こういう所に芸能人だと感心させられて。
私は、うるうるとした目に弱い。
そして、世話焼きだとよく言われる。
『…………………交換、しましょうか』
「やった!」
嬉しそうにガッツポーズをするソクジンさん。
黒ずくめの服だからか、余計に怪しさが増している。
「ありがとう、Aちゃん。必ずお金返します」
『えぇ、まぁ。……………ソクジンさん、あの。
私の前では、無理しなくていいですから。
Aさんだと思ってくださっても、』
一旦固まった後、顔を下げながら、
「…………………あり、がとう。
Aちゃん。
でも、大丈夫。
僕は、こんなところで立ち止まってちゃダメなんだ。
きっと、今頃Aに呆れられてると思うから。
くよくよすんなって、ね。
Aちゃんは、いてくれるだけでじゅうぶんだよ」
ふわり、と微笑みながらそう言うソクジンさんが、
見つめてるのは、きっと私じゃなくて
Aさんなのかな。
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作者名:つばき。 | 作成日時:2020年5月27日 12時