君の涙が乾く頃 (ページ44)

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■ ページ44

いつものようにお見舞いに行こうと、病院にやって来た僕。

…………あまり期待はしない方がいいと自分に言い聞かせても、やっぱり心のどこかで思ってしまう。

目覚めて、くれてないかな。

この1週間、気が気でなくて。
ずっと、Aちゃんのことしか頭になくて。

…………緊張する。

いつものように、そっとドアを開けた。

今日は何かが違っていた。

ベッドから、起き上がっているAちゃん。

僕はついに都合のいい幻覚まで見えるようになったのだろうか。

「………………っ、A、ちゃん…？」

震える声をどうにか、出しながら1歩ずつ、歩いていく。

『……………ソクジン、さん』

君の声を、ずっと聞きたかったんだ。

僕の名前を、ずっと呼んでほしかった。

「………………っ、よかった………………！」

溢れる涙が、勝手に出てきて、止まらない。

本当に、よかった。

これで、大切な人を失わずにすんだ。

『……………ごめんなさい』

少し、うつむいた彼女の、表情が、

よく見えなかった。

どうして、謝るの？