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3人がやっとの思いで辿り着いた宿屋。其の扉を開くと「いらっしゃいませ」と上品な声が聞こえた。
「此方は宿屋『レフラクタ』でございます。3名様ですね」
そう言って出迎えたのは、綺麗に手入れされた金の髪を持つ少女だった。モーニングは「あぁ。だが最初に料理を頼む」と言うと、目の前にあった長椅子にドカッと座る。
「……畏まりましたわ」
其れが気に入らなかったのか、彼女は不機嫌に顔を歪ませた。しかし其れは一瞬ですぐに笑顔に戻し、厨房へと消えていった。
「オイラ肉じゃないとやだー！肉くれー！」
モーニングと同じ様に長椅子に座った少年の叫びを聞くと、モーニングは溜息をついた。
「……我が儘言うんじゃねぇゾ、サン。食えるだけ有難いと思え」
しかし、其のやり取りを聞いていたのか先程の少女が戻ってきて、サンに問うた。
「何のお肉がいいですか？」
「！！ 鳥！とり！トリィ！！」
「わかりました。そう伝えておきますわ」
そう言うと少女はまた厨房に戻っていった。
其の背中を見ながらサンは「肉、食えるって」と呟く。
「あーそうかよ。んで、チェリー。ちょっといいか」
「あ、あぁ、何？」
ぶっきらぼうにサンに返事をすると、モーニングはチェリーを呼ぶ。どうやら此れからの予定を立てるらしい。
「海図を見ると、この島はオレ達の目的地からは外れてるみてぇだ」
「あ、ホントだ」
「これは早くこの島出ねぇとな」
――そうして、海賊「ハーティーハーティー」が束の間の休息を取っていた頃……。
「……おい、それは本当か？」
「はい。間違いなく、激道のしずく――チェリー・ブラッサムはこの島にいるようです」
黒旗の上がっている船の上で交わされる会話は、チェリーを狙うものだった。激道のしずく、其れは、多くの海賊が喉から手が出る程欲しい物品であり、今はチェリーが持っている物の事だ。
「ククク……激道のしずくはオレのモンだ――！」
そう不気味に笑った男は、海賊「ハーティーハーティー」が居る島に目を向けていた。
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作者名：双宮美桜 | 作成日時：2015年9月4日 14時
