私たちは都合がいい【まふまふ】

19話 ページ21

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“いつもの最寄りの駅で会おう”







言われた通りにいつもの待ち合わせの場所に向かった



彼は必ずと言ってもいいほど車で来るから
停めそうな場所の近くに立って待った





時計で時間を確認すると夜の8時頃
流石に肌寒い

手を擦り合わせて寒さに耐える





「お待たせ〜」と言葉を交わす、

周りのカップルの待ち合わせを横目で見届けながら
彼が来るのを待った



私はあんな風に幸せになれない、と
嫉妬と不安が入り交じった









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「待った？」







フワッとした香りに包まれたかと思ったら
振り向いた先には光る銀色の髪が




「お待たせ」





あぁ…





『私も今来たとこだよ』



高鳴る鼓動を抑えようと
精一杯のポーカーフェイスを保つ


気を抜いたら顔が緩んでしまいそう







私の顔を見て彼も少し微笑んでから
手を取った




「行こっか」



私は、彼の誘いに静かに頷いた









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『…ぇ』




思わず声に出てしまった

どうしたの、と聞く彼の顔と交互に見る








目の前に広がるのは煌びやかなイルミネーション







ずっと遠くまで明るく照らされている







『え、今日は…ホテルじゃないの？』


と聞くと彼は少し驚いてから
余裕そうな笑みに変わった






「なぁーに、ホテルのがよかった？

やらし〜〜〜」



『んなっ！？』


ケラケラと笑いながら私の手を引く









こんなこと、私にしていいの…？



不安が積もる

そもそも彼女がいるかどうかも知らない







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あれ、



よく考えたら私、彼のこと全然知らないじゃん







「綺麗だね〜」


『…そうだね』



こんなに近いのに









彼と私の距離は







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遠い


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