あのお館様と仮結婚しました【鬼滅の刃】

二十九の幕 ページ33

いきなり何を言いだすんだ、この鬼は！






別に、ツライことがあったわけでも無いし……悩みのタネは合ってるけど







それでも、お館様のもとに早く帰りたい……！

不安で不安で仕方がない……！








でも、流石は上弦の鬼、腕に食い込む、爪の痛さが尋常じゃない



泣きたいし、叫びたいし……






童「ほら、遠慮しないで」





するわ！！

君の怖さを、もっと自覚して！！







そんな体勢のまま、拒みを続けていると、






童「えー？どうして？その男、ヒドイ奴なんでしょ？」






納得がいかないのか、鬼が聞いてきた





『ヒドイ奴』！？！？


今度ばかりは、聞き捨てならなかった




だって、あんな良い人をヒドイ奴って……！



そりゃ、お館様を知らないのもあるだろうけど、いや、一応敵としては知ってるのか









私は、混乱する頭で、今までにないくらいの大声を出した







貴「私は、ケンカなんてしてないし、相手もヒドイ奴なんかじゃありません！！とっても優しい人で、私には勿体無いくらいの良い人なんです！！」






ハアハア……と呼吸を整える


間近で、この大声が少し効いたのか、腕の力が緩んだ








…………と、思うことにして、無理にでも腕を振りほどいて逃げることにした




それしか、私には方法がない！








そして、振りほどく一瞬、私の考えは少し甘かったようで、爪が肌を切りつけた




ビリッとする痛みを耐え、屋敷の方まで、何も見ずに逃げた





ひたすら、ひたすらに

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